しかし、モースは首を振っている。「いや、違うんだ。ある日クラブハウスに行くと、置いてあったんだ」
どういうこと?
「イチローだよ! 彼が、自分のバットメーカーに注文してくれたんだ。こっちはバットケースの話をしたとき、『その通りだ』って相づちを打ったけど、実際にはどうしたらいいか分からない。市販されてないし、バットメーカーの担当者と話をしても、いまひとつ要領を得ない。どうしようと思っていたら……」
以来、モースは同じバットケースを使い続けている。「もう10年近くになるのかな。俺の宝物だ」
■イチローと再び…「楽しいシーズンに」
改めて後で見ると、もう傷だらけ。それでも彼には唯一無二のケースなのだろう。
彼は09年にトレードされたあと、13年に古巣マリナーズに再トレードされたが、そのときイチローはヤンキースと2年契約を交わしたばかり。再び一緒にプレーする機会はなかなか巡ってこなかったものの、今回意外にもそろってマーリンズに移籍。モースは、ほおを緩めて言っている。
「楽しいシーズンになりそうだ」
そういえば……。一つ思い出した。ヤンキース時代、イチローが外野で球拾いをしていると、近くにいたジョバ・チェンバレンが声を掛けた。「いいグラブだね」
数日後、チェンバレンのロッカーにはイチローのグラブが置いてあったそうだ。
「なんだ6月中旬並みの暑さじゃないか」
練習を見ていた地元メディアの1人が、そうつぶやいた。2月24日、野手もそろい、大リーグ・マーリンズのキャンプ全体練習がスタートした。午前8時前に練習施設に姿を…続き (3/2)
フリーエージェント(FA)となった選手らは、立場にもよるが、様々なスタンスで移籍、あるいは残留を決める。ある選手は出場機会を優先するだろう。ある選手はビジネスと捉え、自分の価値判断を金額に求め、そこ…続き (1/26)
今年のイチローの打率は2割8分4厘。初めて3割をきった2011年以降では、わずかとはいえ、一番良かった。ただ、安打数は102本。打席に立ったのは385回。ピークだったころと比べれば、いずれも半分程度…続き (2014/11/3)