魚の皮膚をまねした新しい「ばんそうこう」が開発されそうだ。
けがをつつみこんで、効率的に皮膚を再生させる効果を確認している。
皮膚再生を加速させる
中国の上海交通大学医学部を中心とした研究グループは、米国化学会の発行するACSアプライド・マテリアルズ&インターフェイシーズ誌で2015年2月11日に報告した。
研究グループは、ティラピアの皮膚に基づいてけがの部分を覆う素材を作り出した。
コラーゲンから成るスポンジ状の組織、「電気紡糸法」という方法でつむいだナノ繊維を使ったものだ。
研究グループが検証したところ、作ったナノ繊維を使うことで、人間の皮膚を再生するための「角化細胞」や「皮膚線維芽細胞」の生存を助けて、皮膚の細胞をうまく作り出した。角化細胞をより多く集まるように促してもいた。さらに、皮膚を下支えする「コラーゲン」を作り出すのも促進した。
皮膚再生を加速させる効果を表していた。
効果表す「生物模倣」
生き物の仕組みを使って、効果的な工業製品を作り出す考え方は、「生物模倣(バイオミメティクス)」と呼ばれている。
今回、確認された生物学的な効果も、ティラピアの皮膚に備わっている特徴によると研究グループは指摘する。例えば、皮膚の細胞の周囲にある「細胞外細胞基質」という構造は有効に作用している。ほかにも、水を保つ「親水性」や皮膚再生の成分になる「コラーゲンナノ繊維に含まれた複数のアミノ酸」の効果もあったと見られる。
実用化に近い技術の一つだろう。
文献情報
Zhou T et al. Development of Biomimetic Tilapia Collagen Nanofibers for Skin Regeneration through Inducing Keratinocytes Differentiation and Collagen Synthesis of Dermal Fibroblasts. ACS Appl Mater Interfaces. 2015 Feb 11;7(5):3253-62.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25598076
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