橋下徹市長vs.藤井聡・京大大学院教授で盛り上がる「大阪都構想」。メリットは「シロアリ駆除」ができることではないか

2015年03月02日(月) 高橋 洋一
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東京であれば、高校・大学、病院は区立ではなく都立であるのは当然なので、区と都の二重行政はない。ところが、大阪では市と府が同じ運営をして争っている。東京人からみれば、二重行政であるが、大阪の人はそれを当然のように感じている。

ある関西人にいわせると、大学は二重でもいいという。それだけ知識が増えているからだという。筆者からみると、市立大学と府立大学が統合されても、当面、先生の数は二つの大学の合計のままでもいいと思う。ただし、間接部門の教務課職員は合理化できるだろう。それと調達部門も合理化でき、調達コストは軽減されるはずだ。そうすれば、少ないコストで知識量は減らさないで、大学経営は可能だ。

 「都構想」是認なら市営地下鉄民営化へ弾み

ムダはそれだけでなかった。本来であれば、周りの家族の面倒を見るべき隣家(大阪府)にあるべき輸送自動車(地下鉄)も五人家族が持っていた。輸送自動車は、周りの家族が使ってこそ意味がある。しかし、五人家族の家だけで使うので非効率だった。

大阪市の地域は地下鉄運営では狭すぎる。おまけに、東京では当たり前の私鉄間との相互乗り入れがない。新幹線で新大阪に行くと市営地下鉄の駅は、橋下市長になってから格段によくなったが、これを民営化して、さらによくしたいという。

市営地下鉄の民営化そのものは、大阪都構想のコアではないが、大阪市が大阪府ではなく、それを飛び越えて民間に移管するという意味で、大阪都構想の考えかたをさらに進めたものといえる。東京では、都営地下鉄と民間のメトロがあるが、大阪では民間のみにしようとするものだ。

大阪都構想が住民投票で是認されれば、市営地下鉄の民営化に弾みがつくだろうし、否認されれば民営化はあり得ないだろう。

二重行政解消にメリットはあるか

いずれにしても、ここでのポイントは、二重行政についてだ。藤井教授は、二重行政はないとか、それでもムダではないという立場であろう。藤井教授は大阪市からカネが2200億円出て行くのが問題としているが、ここは大阪市と大阪府の二重行政をやめて大阪府に移管する部分だ。それには当然カネが伴うが、これを問題というのは、二重行政でもいいと言うことだろう。

橋下市長は二重行政をいかに少なくするか、個別に二重行政を直すより、大阪都構想で一気に行う方が望ましいという立場であろう。

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