「役人区長」が「公選区長」になる
まず、①の独立であるが、
藤井教授は
『トイレ、台所、風呂、テレビや洗濯機等、全てを共同利用していたのですが、これからは、それぞれのアパートに、トイレ、台所、風呂などを作らなければならなくなります』
という。
既に大阪市には、行政区があるので、日常生活に必要なトイレなどは各人が備えていたといえる。五人が『独立』するのはそのとおりだが、それまで、一家の長の顔色をうかがいながら、同じ行動をとっていた五人は、立派な成人となって、『独立』する。それぞれの「アパート」もはじめは同じだろうが、将来はそれぞれ特色を持っていくだろう。
大阪では、小・中・高校と市立が普通だろう(私立は別)。東京人の筆者からみると、小・中学校は区立で、高校は都立というのが当たり前だ。小・中学校に関することはあまりに細かすぎる。これをすべて都知事なんて扱えるはずない。では、23区を一つの東京市にしたらどうだろうか。戦前は東京市だったので、家で整理していると古いモノで「東京市」というがたまにでてくることもある。
しかし、今は23区も大きくなりすぎて、小・中学校の細々とした案件を一人の「東京市長」に任せることなんてできるはずない。そこで、23区に分けている。今では、人口5万人の千代田区から人口90万人の世田谷区まで大きな格差がでているが、それでも人口910万人で一人の東京市長にすべきとは思えない。
市を分けて特別区(基礎的自治体)にするのは、意味がある。公選区長になるからだ。東京なら投票に行っていれば区長の名前くらいは知っている。大阪は行政区なので、役人区長で名前なんて知らない。公選区長のほうが役人区長よりマシだろう。
ただし。この点は立場によって異なる。選挙より官僚機構のほうがいいという人は、公選区長はデメリットと思うだろう。藤井教授はこの立場だろう。橋下市長はそうでない立場なので、公選区長をメリットと思っている。
この点を少し具体的な問題で整理しておこう。
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