3D(3次元)プリンターに「素材革命」が起ころうとしている。使える素材に制限があることが課題だったが、2015年にJSRや三菱化学は柔軟性や強度を高めた新素材を次々投入する。試作品や玩具以外にも個人のニーズに合う完成品を安く手軽に製造することが可能になりそうだ。
1月中旬、横浜スタジアム(横浜市)の脇にたたずむビルの一室。慶応義塾大学SFC研究所のラボには、3Dプリンターをはじめとする工作機械がずらりと並ぶ。
このラボに所属する環境情報学部の田中浩也准教授と、JSRの林田大造プロジェクトリーダーは、3Dプリンターの新素材の実用化のメドをつけた。JSRは今年から「ファブリアル」シリーズとして熱溶解積層方式の3Dプリンターに使う材料の展開を開始する。
■義足など安価に
田中准教授との共同研究を通じて開発したのはゴムのように軟らかい材料だ。JSRが手掛ける点滴用のチューブやパックに使われるような医療用のポリマーの材料設計を見直した。ゴムと樹脂の中間の特性を持つ「熱可塑性エラストマー」と呼ばれる素材を独自のノウハウで加工し、柔軟性の高い材料を作った。
主に医療分野での応用を目指している。例えば、膝サポーターや義足、補聴器、ギプスで皮膚と密着する部分を軟らかい素材で作る。3Dプリンターは大量生産には向かないが、オーダーメードの多品種少量生産に適している。データを入力し、個人にあった部品を開発すれば、装着していても疲れにくく、体にフィットするものを安く簡単に作ることが可能だ。
林田氏は人間総合科学大学などにも通い、義足や義手の製作に3Dプリンターをどう生かせるか可能性を探る。「国内の医療機器メーカーへの技術紹介もすでに始めている」(同社)という。
3Dプリンターはもともと医療分野での活用が有望視されている。臓器の一部を模型として作製し、手術前のシミュレーションや練習ができる。患者の体への負担を軽減する手段として有効だ。硬いABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂などと異なり、JSRの素材を使えばメスのような刃を入れて、実際の手術に近い形を再現できる。「より臓器に近づけられる材料を作っていきたい」(小柴満信社長)
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