安保理公開討論:日本大使「平和愛する国家」強調して演説

毎日新聞 2015年02月24日 10時56分(最終更新 02月24日 15時20分)

国連安全保障理事会の公開討論で演説する中国の王毅外相(前列右)。左は国連の潘基文事務総長=米ニューヨークの国連本部で23日、ロイター
国連安全保障理事会の公開討論で演説する中国の王毅外相(前列右)。左は国連の潘基文事務総長=米ニューヨークの国連本部で23日、ロイター

 【ニューヨーク草野和彦】日本の吉川元偉(もとひで)国連大使は23日、国連安全保障理事会の公開討論で演説した。第二次大戦後の日本について、大使は「大戦の深い反省」に基づき、国連とともに「世界の平和と安全に貢献する『平和を愛する国家』としての道を歩んできた」と主張した。

 大使は、「平和を愛する国家」の象徴として、日本が、自由▽民主主義▽人権▽法の支配−−を尊重していると指摘。特に「法の支配」に関しては、中国が加盟していない国際刑事裁判所(本部ハーグ、ICC)などの名前を挙げ、「日本は全ての国際裁判所に関与している」と説明。国際的な紛争を巡り、「力」ではなく、平和的解決を重視していることを強調した。

 さらに、日本が今後、平和構築▽核軍縮・不拡散▽テロとの戦い−−などの分野で積極的に貢献すると説明。国連創設70周年の今年は安保理改革の好機と訴えた。

 公開討論は、安保理議長国の中国が「国際平和と安全の維持」をテーマに主催。加盟国で最初に演説した王毅外相は「過去の侵略の罪をごまかそうとしている者がいる」と述べ、日本の安倍政権の歴史認識をけん制した。

 これに対し、吉川大使は演説中、4度も「平和を愛する国家」と言及し、王外相の発言に間接的に反論した形。ただ、吉川大使の演説の際には、王外相は記者会見などのため退席していた。

 韓国代表も演説したが、従軍慰安婦問題など、日本との懸案事項には触れなかった。

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