「インタビュー」

ドロップアウトしそうな社員がイノベーションを起こす

『会社を辞めないという選択』の著者・奥田浩美氏インタビュー(前編)

  • 梶塚美帆=日経ウーマンオンライン

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2015年3月2日(月)

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 誰でもこれまでに「会社を辞めようかな」と、気持ちが揺れたことがあるのではないでしょうか。

 世間では、若くして起業し、斬新な商品やサービスを世に送り出しているベンチャー経営者が脚光を浴びています。「自分は出遅れてしまったのでは」――そんな思いに駆られて焦っているビジネスパーソンに、「ちょっと待った」と声をかけるのが、2015年2月に『会社を辞めないという選択』を出版した奥田浩美さん。

 IT業界に会社員として身を置き、その黎明期から数々の企業の栄枯盛衰を見続け、自身でも2回の起業を経験してきた奥田さんが、なぜ今、会社員の可能性に注目しているのかを語っていただきました。

(構成・文=成田真理)

女性起業家として活躍し、「IT業界の女帝」の名を馳せている奥田さんが、『会社を辞めないという選択』というタイトルで本を書いたということに驚きました。なぜ、このタイトルなのか、その理由を教えてください。

奥田浩美(おくだ・ひろみ)氏
ウィズグループ代表
鹿児島県生まれ。インド国立ボンベイ大学(現州立ムンバイ大学)大学院社会福祉修士修了。IT技術の台頭と共に海外より進出してきた、大型のプライベートショーを受注し、数多くのイベントの日本への上陸をサポート。2001年に株式会社ウィズグループを設立。2012年、地域×ITのメディア、fin.der.jpを立ち上げる。並行して2013年に徳島県の過疎地に「株式会社たからのやま」を創業、「ITふれあいカフェ」を設け、高齢者共同製品開発事業を開始(写真は竹井俊晴)。

奥田浩美氏(以下奥田):20代、30代の会社員が、「うちの会社ではやりたいことなんかできないよ」と言うのをよく聞きますよね。会社に勤めているとやりたいことが本当にできないのか、そんなはずはないという思いがありました。

 私自身、会社員を経て起業する中で、会社を辞めない選択も、辞める選択もしてきました。これは今になってこそ言えることですが、どんな選択もその時に自分が能動的に決めたのなら、すべて正しい選択です。だからそれぞれの選択をすればいい。

 だけどもし、「会社員でいるうちはやりたいこともできない」と勝手に思い込んで会社を辞めようかと迷っているのなら、本当にそうなのかを改めて考えてほしいと思いました。ただ自分の思い込みで自分を縛っているだけかもしれないからです。

 会社というのは、土地やお金、人といった財産を持っています。それを使ってできることはまだまだたくさんあるはずだし、もっと言うなら、会社という規模感でなければできないこともあります。それに気づいてほしかった。


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