東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

政治とカネ 政権がたるんでいる

 西川公也前農相が引責辞任したばかりなのに、またも「政治とカネ」の問題で国会が紛糾している。望月義夫環境相らへの献金疑惑が発覚したためだ。政権は緊張感を欠いているのではないか。

 企業・団体からの献金が明るみに出る。その法人は国から補助金を受けている。補助金交付の決定から一年以内は政治献金が禁止だ。違法の疑いが生じる。だが、政治家は「補助金を受けていた法人とは知らなかった」と弁明しつつ、返金する。首相も内閣官房長官も「全く問題はない」と理解を示す−。

 西川氏のケースと同じ構図が繰り返されている。望月環境相の場合は、自ら代表をつとめる自民党支部に物流会社から二〇一三年に百四十万円の献金があった。この会社は環境省所管の社団法人から一億七千万円、国土交通省から四千二百万円の補助金を受けていた。政治資金規正法に抵触するのではないか−。そんな疑惑だ。

 同じ会社から上川陽子法相が代表の政党支部にも六十万円が寄付されていた。二人とも「補助金交付を知らなかった」と記者会見で述べ、違法性を否定した。

 西川氏は砂糖メーカーの団体や木材加工会社からの献金が疑問視された。農相の立場と利害が絡む恐れがあったからだ。望月氏の場合はどうだろうか。社団法人からの提供とはいえ、環境省が行う二酸化炭素排出量削減に絡む補助金である。利害関係が全くないと言い切れるだろうか。

 昨年には政治資金収支報告書の記載に問題があった人物だ。物流会社とどんな関係にあるのか、もっと詳細に説明してもらいたい。

 相変わらず献金疑惑で紛糾するありさまに国民はあきれているだろう。安倍晋三首相は国会で「この問題は民主主義のコストをどのように国民が負担するかにかかわる」とも語った。確かに約三百二十億円にものぼる政党交付金は国民が負担している。

 この制度はもともと政治家がカネ集めに走らなくても済むようにつくられた。約三百二十億円という金額は庶民感覚では決して少なくない。それでも献金問題が相次ぐ背景には何があるのか。

 二十七日には維新の党から企業・団体献金を全面的に禁止する法案が衆院に提出された。同党は「政党助成制度の導入時に国民に約束した献金禁止の措置を実施するのは今だ」と語っている。この提案を一笑に付さず、議員はまじめに議論すべきである。

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo