学歴と失業の関係はいかに? 学歴別失業率の最新動向
不破雷蔵 | 「グラフ化してみる」ジャーナブロガー 解説者
学歴・世代別に見た最新の完全失業率
世間一般には高学歴ほど就職は容易く、また失業もしにくいとされる。その実態を確認できるデータの一つが、総務省統計局が毎年発表している労働力調査。その最新情報から現状をチェックしていく。
「完全失業率」とは「完全失業者÷労働力人口×100(%)」で算出することができる指標で、総務省統計局では「仕事についていない」「仕事があればすぐにつくことができる」「仕事を探す活動をしていた」のすべてに当てはまる人を「完全失業者」として認定している。
次に示すのは公開値を元に独自算出(、そして過去において総務省が発表していた実質値と同等の計算方式であることを総務省側への問い合わせで確認済み)した、学歴(教育)と年齢階層別で区分した完全失業率。社会の実情的には大学卒と大学院卒は別分けにすべきとの意見もあるが、大学院卒の失業者数が少なく、単純計算では誤差が大きくなるため、そして以前総務省で発表されていた仕切りでは両者を合わせてのものであったことから、このような形を取り入れている。
完全失業率に関する全体的な構造「高学歴ほど低失業率」「若年層ほど高失業率」に変わりは無い。ただし高齢層、特に65歳以上の失業率では学歴の差がほとんど出ていない。これは多分に定年退職・早期退職後の再就職をこれまでの職場、新規職場を問わずに果たし、その際には学歴はさほど影響しないから。実際、この世代における就業者の多くは非正規雇用となっている。
さらに昨年同様今年も大卒・大学院卒の15~24歳における、つまり大学卒業後間もない新社会人の失業率が6.5%と高めに位置しているのも目に留まる。高学歴であるがため妥協が難しく、職につけない事例が多々あるのだろう。また逆に企業側も高学歴者を起用するポジションとしての、雇用のハードルが高くなっているのかもしれない。
失業率は明らかに低下、改善中
昨年発表された2013年分の値と、今回算出した2014年分の差異を算出して出来たのが次のグラフ。これは2013年から2014年の1年間における失業率の変化を表す。数がプラスに大きく振れるほど失業率が増加=悪化していることを意味する。
なお2013年までは高齢層は統計上「55歳以上」でまとめていたが、2014年以降は「55~64歳」「65歳以上」と細分化されたことを受け、2013年の比較元値は「55歳以上」を適用している。そのため特に「65歳以上」はイレギュラーな値が算出されてしまった。この世代の値は参考値程度に見てほしい。
やや振れ幅にはばらつきがあるが、マイナス値が多い、つまり雇用の改善が見られる。とりわけ小学から高校・旧中、そして若年層における下げ方=改善が著しい。一方、中堅層の一部で失業率の悪化が見られ、懸案事項として留意すべき動きではある。中途半端な年齢であることから、再就職の際にも望みが高く、雇用側も雇い入れが難しいのではないだろうか。
今回分となる2014年におけるポイントは「全体的な雇用状況の改善」「一部中堅層での状況悪化の懸念」の2点にまとめられる。高齢層の雇用状況の改善は多分に非正規社員としての再雇用であり、定年退職後も職を求める人に求人がマッチした形となっている。定年退職後に再就職を求めない人は非労働人口として数えられ、失業率の計算からは除外される。
今後は若年層における完全失業率のさらなる低下を果たすべく、景況感の回復や労働市場の改善に期待をしたいところだ。
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