韓国の会社員は、上は財閥の総帥から、下は非正規の雇員まで、自分が勤務しているビルの豪華さを自慢する。その企業の内実は、とりあえず問題ではない。私から見ると「外華内貧」の国民性そのものだが、彼らは自慢できる「外華」があることで士気を高めるのだ。
私のこうした観察が正しいとしたら、サムスン・ジャパン(財閥内の各社の日本現地部門をまとめた法人)が東京・六本木にある共同出資ビルの持ち株を売却し、飯田橋の貸しビルに移転するのは、よほどの決断だ。社員たちの落ち込みは大変なものだろう。
日本でのサムスン電子は、すでに白物家電からほとんど撤退済みのようだし、スマートフォン(スマホ)のシェアもガタ減りしている。サムスン財閥の中核であるサムスン電子の本体も、2014年通期(連結)の売上高は前年比9・8%減、営業利益が同32・0%減だ。
絶対的主力製品であるスマホは、中国でも「小米科技(シャオミ)」や、米「アップル」に抜かれ、インドでは1万円ほどの安価品(タイゼンOS搭載タイプ)を投入したのに地元企業の「マイクロマックス」に抜かれた。
とはいえ、サムスン電子は依然として14年末決算で2兆円を超える営業利益を確保しているのだから、立派なものだ。
サムスン・ジャパンの本社ビル売却は、中核であるサムスン電子の落ち込みもさることながら、サムスン財閥を構成する他の企業を含めた財閥全体の不振に大きな理由があるのだろう。
サムスン財閥は14年初頭にサムスン・コーニングの持ち株すべてを米コーニングに売却した。