なぜ、男性は「誠実=モテる」と勘違いしてしまうのか?
「好きなタイプはどんな人ですか?」という質問に対して、必ず1位になるのが「優しい人」「誠実な人」という回答ですよね。
ところが、優しさと誠実さに対して、男女の間でかなり認識の差があるように感じています。
あくまで女性が優しい人や誠実な人という希望を言う時は、「男としてアリ」「この男性となら体の関係を持てる」と判断した男性の中から、実際どういう人と親密な関係を築いて行きたいかについて自分の希望を答えたものだと思うのです。中には、以前関係を持った男性は男としてアリで体の関係を持てる人だったけれど、優しさや誠実さに欠けていたから、次はしっかり優しさや誠実さも重視して行きたいという方針を述べている人も多いはず。
それは決して「男としてナシ」「体の関係を持てない」と実感した人に対して、優しさや誠実さを求めているものではありません。つまり、買いたいと思える商品は引き続き「男としてアリ」「この男性となら体の関係を持てる」であるのに対して、買った後も使いたいと思える商品に求めるのが「優しさや誠実さ」だと思うのです。「優しい人」「誠実な人がいい」と女性が言うのは、あくまで使いたい商品についての話であって、買いたい商品の話をしているわけではありません。『電車男』は例外中の例外です。
ところが男性側は、この女性の「買いたい商品と使いたい商品の違い」を理解できていない人が多い。優しさや誠実さが最重要の判定基準なのだと勝手に思い込み、自分は優しくて誠実な人間だとひたすらアピールする。女性が過去の経験でモテ男を選んで失敗しているだろうから次は優しくて誠実かどうかという基準を重視してくれるはずだ、と二者択一的に考えてしまうのです。
また、とりわけ外見やコミュ力や経済力などのリソースが無いという自覚をしている男性ほど、必要以上に自分の『優しさ磨き』に精を出すという誤った方向の努力をしがち。でもそれは入試で一次試験の勉強をせずに二次試験だけ勉強しまっているようなもの。同じ試験の中で得意科目を強化すれば弱点を補えるというものではなくて、完全に別々の試験なのにそれに気が付いていないのです。
また、そのようなモテるためにしている『優しさ』は、女性からすればすぐに見抜けますよね。「あぁ、この人、モテないから必死に優しくしているんだな」と。そして彼らは当然のように玉砕して行くわけです。
ですが、この連載で優しさや誠実さに欠けた男性の悪行を散々批判してきたように、現実世界には優しさや誠実さを持ち合わせていない男性が本当にたくさんいて、女性を傷付けている例が後を絶たないのは残念ながら事実です。モテ男は買いたい商品としての需要があるから、優しさや誠実さを改善しようとしない。
一方、非モテ男は「男としてアリ」「この男性となら体の関係を持てる」という男性になる努力をしない。このようにして、アリだけど不誠実なモテ男と、ナシだけど誠実な非モテ男ばかりになっている。現状は使い勝手は良い製品がデザインやマーケティングに力を入れないから売れ残り、デザインやマーケティングだけやたら力を入れているすぐ壊れる質の悪い製品が売れてしまっているのです。
だからこそ、優しさや誠実さを持ち合わせている男性には努力の方向を間違えないで欲しいですよね。コミュニケーションの改善などを心掛けて、まず女性に「男としてアリ」・「この男性となら体の関係を持てる」と思われる『アリメン』になって欲しいと思っています。そのために私たちができることはしっかり男性に伝えて行くこと。
『優しい男が好き。ただしアリメンに限る。』と。
これからは単純に好きなタイプを「優しい人」と言うのだけではなく、「男としてアリ」・「この男性となら体の関係を持てる」と思えることが前提条件になっているということをしっかり伝えていけば、勘違いする男性も減るのではないでしょうか。
コラムニスト。ジェンダー論、現代社会論、コミュニケーションを切り口にした男女関係論が専門。男性でありながら子宮頸がんワクチンを接種。『勝部元気のラブフェミ論』(http://ameblo.jp/ktb-genki/)