ロンドン五輪で31日(現地時間30日)、体操男子団体で日本が銀メダルを獲得した。出場メンバー5人中4人にゆかりのある埼玉県草加市では、深夜にもかかわらず、市民らが声援を送り、劇的なメダル獲得に熱狂した。
コナミ所属の内村航平(23)、山室光史(23)、田中佑典(22)の3選手が草加市在住で、市内の練習場で技を磨く。順天堂大の加藤凌平選手(18)は、中学2年まで同市で過ごした。同市は午前0時半から、市文化会館でパブリックビューイング(PV)を開催。コナミ体操クラブの中学生や市民ら約50人が、横3.6メートル、縦2.7メートルの大型スクリーンを見て、声援を送った。
最初の種目のつり輪のトップに、内村選手が登場すると、大きな拍手がわき上がった。しかし、次の跳馬で、山室選手が足を痛めると、大きなため息が漏れた。その後も、選手の演技に一喜一憂しながら、約2時間半にわたり、声援を送り続けた。最後のあん馬で内村選手が失敗し、一度は4位の判定となると、会場も静まりかえった。しかし、その後の審議で銀メダルが決まると、一転して大きな歓声に包まれた。
PV会場には、加藤選手の弟の裕斗さん(15)も訪れ、声援を送った。競技前に「予選の時以上に頑張って」とメールを送ると「頑張ってくる」と短い返信があったという。コナミ体操クラブで練習している裕斗さんは、ノーミスで演技を終えた兄の活躍を目にして、「次の五輪は兄と肩を並べて出られる選手になりたい」と語った。
加藤選手の幼なじみの北山優菜さん(19)は「いつもの凌平より、ずっと格好良かった。帰ってきたら『お疲れ様』と言いたい」と話した。
北京五輪以来の内村選手のファンで、内村選手の名前入りの手作りうちわで応援していた越谷市の北島綾花さん(19)は「最後に内村選手の笑顔が見られて良かった。個人総合でも頑張ってほしい」と話した。
田中和明市長は「最後の逆転判定は、声援していたみんなの思いがロンドンまで伝わったのではないか。選手は市民の誇り」と興奮気味で話した。(伊藤悟)