100万円チャレンジ、コンピュータ将棋の連勝止まる

本日行われた、電王AWAKE(ノートPC)に勝てたら100万円!初日にて、AWAKEに勝って100万円を獲得した挑戦者が現れました。勝ったのは、全国アマチュア王将位大会で優勝の経験のある山口直哉さん。当ブログで昨年紹介した電王ponanzaに勝てたら賞金100万円! では初代電王ponanzaが166戦全勝して誰にも100万円を渡さず、ponanzaが20万円を獲得しましたが、ついに電王の牙城が崩れました。内容もコンピュータ将棋の弱点を突く周到な作戦による完勝。明日まで続く今回の企画で同様の策で勝利を収め100万円を手にする挑戦者が続出する可能性もありそうです。

その周到な作戦とは、序盤に角交換した後、振飛車で▲4八玉▲2七銀という形で待機して香取りの△2八角の打ち込みを誘う、というもの。思惑通り△2八角が打ち込まれたら香を逃げ、△1九角成に▲3八玉~▲4八金直~▲6九飛~▲1七桂の要領で馬を捕獲し大きな駒得を実現します。現実には駒得が達成されるまで相当に手数がかかり、後手からの反撃を許さず構想を完遂するのは容易なことではないのですが、それだけにコンピュータ将棋にとっても罠を見破りにくく、△2八角と打ち込んでしまいやすいようです。

一昨年のGPS将棋に挑戦する企画以来、繰り返し行われている100万円争奪企画。コンピュータ将棋の容赦のない強さに感嘆する企画であると同時に、高額賞金を狙う人間の秘策が多数披露される場でもあります。今回成功した作戦のように、劣勢がはっきりするまで長い手数がかかる局面に誘導する策はコンピュータ将棋が見破りにくいことが以前から知られており、映像ドキュメンタリーシリーズ「電王戦FINALへの道」でも、ひねり飛車模様から飛車をわざと成らせることで優勢になる対策が示されました。しかし現実の100万円争奪企画などで作戦を成功させるのは容易ではなく、これをコンピュータ将棋の弱点と言ってよいかどうかは必ずしも明らかでない、ともいえました。今回も、△2八角を打たせる作戦で失敗したものも何局かありました。しかし、コンピュータ将棋が敗れる結果が出ることで、プロに勝つレベルのコンピュータ将棋にもまだ課題がある、すなわち、もっと強くなる余地がある、ということが示されたといえます。

当ブログ主としては、このようにコンピュータ将棋に課題を突きつける試みを歓迎したいと思います。有力な対策が具体化されれば、コンピュータ将棋の開発者によってその状況をテストで再現することができるようになり、その対策を研究開発して克服することができる、すなわち、もっと強くなれるからです。かつて稲庭将棋の登場でそのような状況が現れました。世界コンピュータ将棋選手権でも、秘策の登場をお待ちしています。電王AWAKE(ノートPC)に勝てたら100万円!明日まで行われますので、当日対戦枠は競争率の高い抽選となりそうではありますが、同様の策の用意がある実力者の方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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