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» 2015年02月26日 19時00分 UPDATE

Tech TIPS:不正な処理を行っているGoogle Chromeの拡張機能を特定する

Google Chromeの豊富な拡張機能はユーザーにとって大いなるメリットだ。しかし、中にはおかしな挙動の原因となるものもある。筆者の実体験から、そうした拡張機能の見つけ方を紹介する。

[島田広道,デジタルアドバンテージ]
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連載目次

対象ソフトウェア:Google Chrome(Windows/Mac OS X/Linux版)



解説

 あるとき、筆者の仕事場にあるWindows PCで、Google Chromeに「怪しい」広告が表示される、という現象が報告された。確認すると、日本国内の「真っ当な」大手企業の情報サイトにもかかわらず、「お使いのPCがクラッシュ寸前です! OKをクリックして無料修理」という、いかにもマルウェア配布サイトへ誘導されそうな広告バナーが表示されている。

「怪しい」広告が表示される、という報告のあったWebページ 「怪しい」広告が表示される、という報告のあったWebページ
これは日本国内の「真っ当な」大手企業の情報サイトをChromeで閲覧していたところ。[F5]キーを押して再表示させると、本来の広告バナーが一瞬表示された後、それを覆い隠すように(1)が表示されていた。
  (1)マルウェア配布サイトへ誘導されそうな広告バナー。慣れたユーザーならすぐに怪しいと感じるだろうが、初心者ならだまされたり、不安に感じてクリックしたくなったりしてしまうかもしれない。
  (2)ここにも広告枠があるものの、表示に失敗して空白になってしまったように見える。

 そこで調査したところ、当該のChromeに登録されていた特定の拡張機能を無効化すると、この怪しい広告が表示されなくなることが判明した(有効化すると再現する)。結局、この拡張機能を削除することで上記のトラブルは解消された。

 (頻繁に生じることではないだろうが)このように特定の拡張機能が原因で、Chromeの挙動がおかしくなることがままある。そこで本稿では、このような場合にどの拡張機能が原因なのか、特定するために筆者が実践した調べ方を紹介したい(といっても、手間がかかるだけで、そう難しい作業ではない)。

操作方法

 Chromeの拡張機能を疑う前に、例えば次のような点を事前に確認しておきたい。

  • 他のコンピューターのChromeでも、同じ現象が生じるか?
  • 同じコンピューター上にある他のWebブラウザーで、同じ現象が生じるか?
  • ウイルス対策ソフトウェアは、最新のパターンファイルでWebブラウザーのトラフィックを監視しているか?
  • Chromeのキャッシュを削除しても、同じ現象が生じるか?

 これで「現象が発生しているChrome自身に、一時的ではない何らかの問題がありそうだ(WebサーバーやクライアントOSが原因ではなさそう)」という程度には絞り込むことができる。

 ところで、以下ではWindows版Chromeのスクリーンショットを掲載している。特記していない限り、Mac OS XやLinuxでも操作方法は共通だ。

●シークレットウィンドウで現象が再現するか確認する

 Chromeは閲覧履歴やクッキーなどをコンピューターに残さない「シークレットモード(シークレットウィンドウ)」という表示モードを備えている(Internet Explorerの「InPrivateブラウズ」に似た機能だ)。

 このモードでは、Chromeに組み込まれている全ての拡張機能がデフォルトで無効化される。そのため、シークレットモードで問題の現象が再現しなければ、いずれかの拡張機能がその現象を引き起こしている可能性が高い、と判断できる(100%と断定できるわけではない)。

 ただ、Chromeの設定を変更していると、拡張機能はシークレットモードでも実行可能だ。そこでまずは、全ての拡張機能がシークレットモードで無効化される設定になっているか確認する。

全ての拡張機能がシークレットウィンドウで無効化されることを確認する(その1) 全ての拡張機能がシークレットウィンドウで無効化されることを確認する(その1)
まずは拡張機能の設定ページを開く。
  (1)メニューボタンをクリックして、(2)を含むメニューを開く。
  (2)[設定]をクリックする。
  (3)設定画面が表示されたら、[拡張機能]をクリックする。
次へ
全ての拡張機能がシークレットウィンドウで無効化されることを確認する(その2) 全ての拡張機能がシークレットウィンドウで無効化されることを確認する(その2)
拡張機能の設定ページが表示されたところ。
  (4)全ての拡張機能で、[シークレットモードでの実行を許可する]からチェックが外れていてオフになっていることを、1個ずつ確認する。オンになっているものがあれば、オフに変えておく(後で元に戻せるように、その拡張機能の名称はメモしておく)。

 次にシークレットウィンドウを開いて、くだんの現象の再現を試みる。それにはメニューボタンをクリックして[シークレットウィンドウ]を選ぶか、[Ctrl]+[Shift]+[N]キーを押す。

Chromeでシークレットウィンドウを開く Chromeでシークレットウィンドウを開く
  (1)右上隅のメニューボタンをクリックしてメニューを開き、[シークレットウィンドウを開く]をクリックする。あるいは[Ctrl]+[Shift]+[N]キーを押す。
  (2)この帽子とサングラス、コートを身に付けた人物のアイコンが、シークレットウィンドウであることを表している。あとはURLを指定したり検索したりして、くだんの現象が生じるWebページを開けばよい。

●通常の表示モードで拡張機能を1つずつ無効にしていく

 上記の手順でくだんの現象が再現しなかったら、次は拡張機能を1個ずつ無効化しながら現象の再現を試みることで、どの拡張機能が原因なのか探っていく。それには前述の手順で拡張機能の設定ページを開き、[有効にする]チェックボックスを1個ずつオフにしつつ、(シークレットモードではない)通常モードのウィンドウでくだんの現象が止まるかどうか確認する、ということを繰り返していく。

Chromeの拡張機能を1つずつ無効化していく Chromeの拡張機能を1つずつ無効化していく
上記の手順で再び拡張機能の設定ページを開く。
  (1)[有効にする]チェックボックスをオフにすると、その拡張機能が即座に無効化され、灰色表示に変わる。
  (2)[詳細]リンクをクリックすると、その拡張機能の概要やサイズ、バージョン、必要とする権限などが表示される。さらに[ストアで見る]リンクをクリックすると、配布元のChromeウェブストアのページが表示される。
  (3)これをクリックすると、この拡張機能をChromeから削除できる。原因となった拡張機能を完全に特定したら、これで削除するとよい。

 現象が再現しなくなったら、その直前に無効化した拡張機能はそのまま残して、他のものを全て有効化する。それでも現象が再現しないままなら、その拡張機能が「犯人」だと特定できる。上記の(3)の手順で削除してよいだろう。

 ちなみに、問題となった拡張機能に対して上記の(2)の[詳細]−[ストアで見る]をクリックしたところ、Chromeウェブストアから該当ページが消えていた。その拡張機能は確かにこのストアで配布されていたものをインストールしたので、その後ストアから削除されたようだ。

トラブルの原因となった拡張機能はChromeウェブストアから削除されていた トラブルの原因となった拡張機能はChromeウェブストアから削除されていた
これはChromeの拡張機能の設定画面から、くだんの拡張機能の[詳細]リンク−[ストアで見る]リンクとクリックしたところ。
  (1)本来、ここには拡張機能の概要や配布元の情報、ユーザーレビューなどが表示される。だが、くだんの拡張機能の場合、ページそのものが削除されていた。

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