人手不足のせいで待遇が悪化
単位を落とす学生も
昨年あたりから、建設業界や外食、運輸業界などを中心に、人手不足が問題化している。技術者だけでなく、アルバイトも不足しており、首都圏では時給がつり上がるという現象も起きている。単純に考えれば、人手不足がバイトの待遇を改善しそうなものだが、現状はそうなっていない。
「むしろ、今いるバイトを辞めさせまいと必死になったり、少ない人数で回そうとするから、逆に労働環境が悪化している」(坂倉氏)。「お前が休んだら、店全体に迷惑がかかるんだぞ」といった脅し文句で拘束するのだ。
特に経験の長いバイト学生に対する仕事のしわ寄せは大きく、たとえば、ある外食店でバイトリーダーを務める学生の場合、深夜もひっきりなしに店から電話がかかってくるのだという。店長からは「明日のシフト、どうなっている?」という問い合わせ。一方、後輩のバイトたちからは「お客さんからのクレームに、どう対処したらいいですか?」といった質問が来るのだ。
当然、寝不足や授業の出席不足などで学業に支障を来す学生も少なくなく、ブラックバイトユニオンに来ている相談事例の中には、単位を落として困っている学生もいるという。
フリーターや契約社員など、いわゆる非正規雇用を巡る問題が叫ばれて久しいが、「安定した環境で長く働きたい」というニーズを持つ彼らと違い、学生バイトは「学業のかたわらで、無理のない程度に働く」ことを志向している。非正規雇用問題とは、まったく別の問題だ。
学生の社会経験のなさにつけ込んで、いいようにこき使う雇い主は後を絶たない。企業側が襟を正すのはもちろんだが、雇われる学生側も泣き寝入りせず、労働組合や弁護士など、専門家たちの手助けを借りながら、声を上げて行くことが必要だ。