実は北朝鮮当局がこの会議が開かれることを非常に懸念し、開催を妨害することを試みていた。北朝鮮国連代表部で米朝関係を担当するチャン・イルフン大使が、同会議の前日の16日にニューヨークで、「わが国に対する米国の敵視政策の一環だ」として中止を求める声明を出していたのだ。それだけ北朝鮮当局の痛いところを突く行事だったということだろう。北朝鮮当局に圧力をかけるという意味で、開催自体が有意義だったとも言えよう。
ただし、問題は日本の存在感がまったくなかったことである。この会議において、わが日本は声も姿もまったく表わさなかった。日本人拉致という、日本の国家にとっても国民にとっても重大な意味を持つ課題が論じられる国際的な会議であるにもかかわらず、日本国代表が1人もいないのである。
この責任は、やはりワシントンの日本国大使館にある。日本国大使館は会議の場となったCSISから徒歩で10分ほどの至近距離にある。会議が開かれることはずっと以前から分かっていた。しかし、日本の声をそこに届ける措置はなにも取っていないのである。
いくら米韓両国が主導した催しであっても、国連が加わることで国際的なドアは広く開かれていた。しかも日本は、北朝鮮から人権弾圧の被害を受ける当事国なのである。しかし、日本の在米大使館も外務省も、なんの措置も取らなかった。日本の考えや立場を世界に向けて積極的に発信することこそが、外務省のそもそもの存在理由だとさえ言えるのに、そうした対応はまったく見られなかったのである。
外務省は自国民の拉致事件の解決を一体どのように考えているのだろうか。今回の会議は、こんな疑問をいやでも提起させたのだった。
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