福島汚染水流出:県漁連「信頼関係崩れた」

毎日新聞 2015年02月25日 21時19分(最終更新 02月26日 00時02分)

外洋に流出していた汚染水と東電が計画している汚染水対策
外洋に流出していた汚染水と東電が計画している汚染水対策

 東京電力が福島第1原発の排水路から汚染水が外洋流出しているのを把握しながら約10カ月間公表しなかった問題で、福島県漁連(野崎哲会長)は25日の組合長会議で東電に「情報隠しであり、信頼関係は崩れた」との見解を伝えた。県漁連はこの日、汚染地下水を浄化後に海洋放出する「サブドレン(井戸)計画」承認に向け意見集約する予定だったが、問題発覚を受け、納得できる説明があるまで計画を容認しない方針も示した。

 組合長会議は同県いわき市で開かれ、相馬双葉漁協やいわき市漁協の幹部らが出席。東電から事実関係の説明を受けた。東電福島復興本社の新妻常正・副代表らは、昨年4月以降に第1原発の港湾外につながっている原子炉建屋西側の排水路で放射性物質濃度の上昇が確認されていたことを説明。漁協幹部からは「なぜ公表しなかったのか」との批判が集中した。新妻副代表は「(公表より)原因究明を優先してしまった。漁業者には報告しなければならなかったと反省している」と陳謝した。

 いわき市漁協の矢吹正一組合長は「(震災から)4年も顔を合わせてきた東電幹部から裏切られた」と不快感を隠さなかった。相馬双葉漁協の佐藤弘行組合長も「汚染水問題の解決には信頼関係が最重要だとの考えでやってきた。その前提が崩れてしまったことで、漁業者はサブドレン計画に納得しないだろう」と述べた。

 福島県の内堀雅雄知事も25日、「海への流出で県民に不安を与え、情報の速やかな公表もされなかったのは極めて遺憾」と東電の対応を批判。県は27日に原発の周辺市町村や有識者を交えた協議会で現地調査する方針を決めた。

 東電によると、汚染水は福島第1原発2号機の原子炉建屋の屋上に降雨時にたまり、排水路を通じて外洋に流れていた。東電は、水をポンプでくみ上げ、港湾内に通じる別の排水路に移送することを検討する。【栗田慎一、岡田英】

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