The Economist

アルゼンチンの政治:沈黙の行進と国民の怒り

2015.02.26(木)  The Economist

(英エコノミスト誌 2015年2月21日号)

行進に参加した人たちは検察官の死の真相を求めているが、事の真相は政治的な戦いの犠牲になるかもしれない。

検察官の不審死めぐり数万人がデモ、アルゼンチン首都

2月18日、アルゼンチン・ブエノスアイレスで行われたアルベルト・ニスマン検事を追悼する「沈黙の行進」に参加した人たち〔AFPBB News

アルゼンチンの抗議行動は通常、鍋を叩き、ドラムを鳴らし、スローガンを叫ぶ音が鳴り響く騒々しいイベントだ。だが、2月18日の大規模な行進は、沈黙に近い状態の中で行われた。

 行進は、アルゼンチン最悪のテロ行為に対するイランの関与の隠蔽を図ったとして同国大統領を告発した検察官、アルベルト・ニスマン氏の死から1カ月後に行われた。およそ40万人の人が、雨が降りしきる中で議会からニスマン氏の元オフィスへ、さらに大統領宮殿へ向かって行進した。

ナゾの死を遂げた検察官の追悼

 参加者たちは、自宅浴室で銃で撃たれて死亡しているのが見つかったニスマン氏と、1994年にブエノスアイレスで起きたユダヤ人協会本部ビル爆破事件の犠牲者85人のために「真相」と「正義」を求めるプラカードを掲げていた。

 亡くなった同僚に敬意を表する行進を組織した連邦検察官は、自分たちの抗議が政治を超越することを望み、沈黙を呼びかけた。それは考えが甘かった。

 ニスマン氏は、クリスティナ・フェルナンデス・デ・キルチネル大統領を犯罪で告発していた。行進の参加者の中で特に目立った著名人は、大統領を最も激しく批判していた人たちだ。その中にはマウリシオ・マクリ氏とセルジオ・マサ氏も含まれていた。両氏は今年行われる大統領選挙でフェルナンデス氏の後を継ぐ有力候補だ。

 行進には農家のロビー団体も参加した。農家ロビー団体は農業税を巡ってフェルナンデス氏と衝突し、2008年に大統領が失脚しかけた。抗議行動の責任者である検察官数人は、フェルナンデス氏と、前任の大統領で2010年に死去した夫のネストル・キルチネル氏の汚職疑惑の捜査を率いていた。

 不用意なフェルナンデス氏が政治的な熱気を煽ることに…
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