戦後70年の「安倍談話」について意見を交わす有識者懇談会がきのう、初め…[続きを読む]
欧州連合(EU)とギリシャが、対ギリシャ支援策について合意した。これで…
欧州連合(EU)とギリシャが、対ギリシャ支援策について合意した。これで財政・金融危機の再燃といった事態は当面避けられる見通しになった。
しかし、今回の合意は、今月末で期限が切れる従来の支援策を4カ月間、延長するに過ぎない。ギリシャの経済と財政をどう再建するのか。ユーロを安定させるには、根本に立ち返った論議が必要だ。
これまでギリシャはEUなどの支援を受けて、資金繰りをしてきた。支援の条件の一つが緊縮財政だった。しかし、1月の総選挙で反緊縮を掲げる政権が誕生、条件の見直しを求めた。
今回の合意は、ムダな歳出の見直しなど従来の緊縮路線の継続という色彩が濃く、ギリシャ新政権にとっては大幅な妥協となった。それでも貧困層対策を認めるなど、EU側も最低限の譲歩はした。期限切れが迫る中で探った、現実的な着地点だったと言えるだろう。
ギリシャ政府は国営企業の民営化など、EUに約束した改革を着実に進めなければならない。改革は財政再建だけでなく、経済の効率化や体質強化につながることを、国民に説明し、理解を得る必要がある。
それでも、今回の支援策は6月末に期限を迎える。問題は次の支援の枠組みだ。
2009年の債務危機発生後、ギリシャの国内総生産(GDP)は約25%縮小し、失業率はいまだに約25%にのぼる。経済がこれほど縮んだままでは、いくら歳出を絞っても、財政は再建できないだろう。
規律を守るのは当然だとしても、いかに成長にも目配りした財政運営をするか。ギリシャの経済と財政を立て直すには、そんな考えに基づく長期的な取り組みが欠かせない。そのことを考慮したうえで、EU各国、中でも中心的な存在のドイツは、ギリシャと協議すべきだ。
債務危機は、ユーロの構造的な問題も明らかにした。ユーロには、ドイツのような経済力が強い国も、ギリシャのような弱い国も加わっている。ドイツの経済力から見ればユーロの相場は割安になりがちだが、ギリシャにすれば割高で、輸出産業の振興などは難しい。しかしユーロ圏各国の財政はバラバラで、各国間の経済のひずみを財政で調整することはできない。
ユーロ各国が国債の代わりに共同で発行する「ユーロ圏共同債」が一時検討されたが、ドイツなどの反対で具体化していない。長い目で見てユーロをどう安定的な通貨にするのか。そんな知恵が試されている。
PR比べてお得!