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「お詫びしたいと思います」という謝罪は不適切

2015年2月25日 10時50分

ライター情報:米光一成

『ケトルVol.23』特集「やっぱり辞書と図鑑」

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『ケトルVol.23』の特集は「やっぱり辞書と図鑑」。
全60ページぎゅっと密度高い特集。

「ケトルおすすめ! この辞書10冊のここがスゴい」でオススメされるのは、以下の辞書。
三省堂国語辞典/ 明鏡国語辞典/ 標準語引き日本方言辞典/ 現代語から古語を引く辞典/ ロングマン英和辞典/ プチ・ロワイヤル仏和辞典/ 数え方の辞典/ エスペラント小辞典/ 漢辞海/ ベネッセ表現読解国語辞典
それぞれの辞書の見開き2ページに、ポイント解説。
辞書の特徴が伝わってきて、楽しい。
たとえば『明鏡国語辞典』のポイントは、
“間違った言葉遣いをしっかり指摘。日本語に困ったときの相談相手になってくれる!”
「誤用」の解説が詳しいのだ。
例にあげられているのが、「お詫びしたいと思います」
“このいかにも謝罪文に書いてしまいそうな言葉は、『明鏡』によると不適切。「~と思います」は、「必ずしも実行が伴わないと解釈される場合がある」から。”
他にも、「喝を入れる」と「活を入れる」はどちらが正しいのか、「いさぎが悪い」の何が誤りなのか、簡潔に指摘してあるそうだ。

『標準語引き日本方言辞典』【日本には「かわいい」だけで100通り以上あるんです】
『数え方の辞典』【マグロの数え方は1匹。では、「冷凍マグロ」は?】
『ベネッセ表現読解国語辞典』【「小論文より暗記のほうが楽だ」と思っていた人、必読】
わー、欲しい辞典が増える!

「辞書と図鑑のコラム」のコーナーでは、
「意外と知らない! 辞書、辞典、字典、事典の違い」というタイトルで、
言語学者の金田一秀穂先生に、違いを聞いていたり。
「辞書のペラペラの紙にはどんなコダワリが?」
「この道30年の辞書のプロが教える、辞書の作法とは?」(“索引のど真ん中がどの辞書も「し」か「す」あたりなんですよ”)
「書体にもこだわりたい! 辞書フォントの魅力」
「一番心地のいい枕になる辞書ってどの辞書?」
など、興味深いことこのうえない。

図鑑のオススメは20冊。
こちらも、見開き2ページどん! でどんな図鑑なのかぱっとつかめる。
イラストレーターの徳永桂子さんが10年かけて描いた『日本どんぐり大図鑑』と、
かっこいい図版と写真のレイアウトがかっこいい『世界の歴史大図鑑』をじっくり眺めたい。

養老孟司さん、みうらじゅんさん、サンキュータツオさんたちの辞書や図鑑への愛のある語りも楽しい。
『ケトルVol.23』Kindle版『ケトルVol.23』もあり)、辞書図鑑好きに大オススメです。(米光一成)
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ライター情報

米光一成

ゲームデザイナー/インターフェイスデザイナー/立命館大学映像学部教授/電子書籍部部長。ゲーム「ぷよぷよ」「BAROQUE」「トレジャーハンターG」の脚本監督企画担当。著作『仕事を100倍楽しくするプロジェクト攻略本』『男の鳥肌名言集』等。宣伝会議編集ライター講座上級コース専任講師。
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