米軍基地低周波騒音、対策で一定緩和 京都・京丹後
Xバンドレーダーを配備する米軍経ケ岬通信所(京都府京丹後市丹後町)周辺で80ヘルツ帯の低周波が環境省の参照値(41ヘルツ)を大幅に超えていた問題で、米軍が発生源とみている発電機の半数を停止し、稼働している3台に防音マフラーを設置する対策を取って以降、数値が12・8~21・9デシベル下がったことが、北海道大工学研究院の松井利仁教授(環境衛生学)の計測で25日までに分かった。不眠などの不調を訴えていた民家では参照値を下回った。
松井教授が22、23日、基地周辺で3分の1オクターブバンドレベルなどを計測し、防音対策を始めた19日前に京都新聞社が同じ地点で調べた数値と比較した。
最も大きい低周波が記録されていた基地西隣の九品寺では74・5デシベルが61・7デシベルになり、基地近くの国道178号沿いでは48・4デシベルで21・9デシベル下がった。また、基地から約350メートル離れた地点では55・2デシベルが39・4デシベルになり、参照値をわずかに下回った。
米軍は、稼働する発電機6台のうち3台に防音マフラーを取り付け、残り3台は設置が完了する3月上旬まで稼働を停止すると近畿中部防衛局に伝えている。
松井教授は「マフラーの効果で屋内では窓を閉めると気にならないレベルになった。ただ、6台全てが稼働するとさらに3デシベルほど上がるので参照値を超える民家が出てくる」と指摘。追加の騒音対策として、どの家からも発電機が見えないように発電機の周囲にコンクリート製の遮音壁を設置することを提案する。
24日に基地に入り、設置状況を確かめた袖志地区の大下教夫区長(65)は「頭や体に響く不快さはなくなり、夜中に酒の力を借りなくても寝付けるようになった。音自体は消えていないので米軍は引き続き対策を講じてほしい」とし、尾和地区の永美安幸区長(65)は「音はかなり軽減されたとはいえ、窓を開ける夏場が心配」と話す。
基地から出る騒音で地元住民の3人に1人が「よく眠れない」「いらいらする」といった不調を自覚していることが京都新聞社のアンケートで判明している。同防衛局は発電機稼働で生じる低周波が原因とみて、関西電力から電源を引き込む方針を示している。
【 2015年02月25日 22時50分 】