無策の朴大統領が韓国経済をダメにする

3年目の大統領は「レイムダック」となるか

朴政権発足後、2年連続で史上最大を記録した輸出入・貿易収支の実績も、その中身を検証してみると話が違ってくる。産業通商資源省によれば、昨年の輸出額は5731億ドル、輸入額は5257億ドルと史上最大を記録した。貿易収支は474億ドルとこれまでの440億ドルを超えた。政府は「2年連続で貿易のトリプルクラウン(輸出、輸入、貿易収支)を達成した」と自画自賛する。

だが、問題は輸出入の増加率だ。2013年と2014年の輸出の増加率は、2.1%、2.4%に過ぎない。『中央日報エコノミスト』が韓国貿易協会の資料を基に調査した結果、2000〜12年の平均増加率は11.7%だった。政権発足直後にリーマンショックとなった李明博政権5年間の平均は7.1%。朴政権になって輸出増加率が大幅に下落したことになる。輸入増加率も2013年にはマイナス0.8%、2014年には1.9%に留まっている。

経済成長率も奮わない。朴政権発足後、8四半期連続で見た四半期ごとの国内総生産(GDP)の成長率が1%を超えたのは2回しかない。昨年第4四半期(10~12月)の成長率は0.4%に留まった。これから見ると、潜在GDPから実質GDPを除いたGDPギャップは、政権発足後8四半期連続でマイナスとなってしまう。韓国経済が潜在成長率ほども成長できずにいるということだ。これについて、韓国銀行の金融通貨委員会は1月、「GDPギャップのマイナス状態は相当期間続くものと判断される」と指摘している。

住宅購入による家計の信用不安危機も

政府が自慢するもう一つの実績は、住宅の取引量の増加だ。政府の相次ぐ不動産市場活性化案で、今年1月の住宅売買取引量は7万9320件を記録した。1月では史上最多となる。不動産取引は昨年9月から継続して増加していた。これと同時に、住宅を担保にした貸し出しも同時に急増している。金融監督院によれば、家計貸し出しは昨年1年間で39兆2000億ウォン(1ウォン=0.11円)増加した。これは2007年以降、最大規模となる。家計貸し出しのうち37兆ウォンは住宅を担保にした貸し出しだ。

韓国銀行によれば、朴政権になって家計信用は1000兆ウォンを突破し、昨年第3四半期(7~9月)には1060兆3000億ウォンに増えた。政府が貸出規制を大幅に緩和したためだ。問題は、家計負債が爆発直前にあるということだ。最近、野党・新政治民主連合のキム・ギジュン議員が韓国銀行から提出された資料を公開した「家計負債限界世帯分析」によれば、可処分所得における元金償還額の割合が40%を超える「負債高危険群」は全体の19.4%を占めた。世帯数では234万世帯となるが、これは朴槿恵政権発足直前より78万世帯増となる数字だ。

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