[PR]

 原爆のむごさ、戦争の愚かさを伝える故・中沢啓治さんの漫画「はだしのゲン」第1巻のアラビア語版が最近、エジプトで出版された。カイロ大文学部日本文学科教授マーヒル・エルシリビーニーさん(55)が翻訳した。「中東のいろいろな所で殺し合いが起きている。ゲンを通じて平和を呼びかけたい」と話す。

 マーヒルさんは1987~92年に広島大大学院に留学し、日本語研究で博士号を取った。当時は研究が忙しく被爆の実態を詳しく知る時間がなかった。

 カイロ大で教授になってから時間に余裕ができたので、平和の大切さを訴えている広島への恩返しのため、原爆に関する本をアラビア語に翻訳したいと考えた。友人に相談すると「はだしのゲン」と、井伏鱒二の小説「黒い雨」を薦められた。絵で理解できる「ゲン」を選んだ。「ゲン」を読んで知っている地名がたくさんあった。原爆の破壊力のすさまじさを改めて知った。