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地下鉄サリンの被害者「給付金の支給遅かった」
2月25日 4時37分

オウム真理教による「地下鉄サリン事件」から来月で20年となります。
「被害者の会」などの調査で、平成20年に実施された被害者や遺族への給付金についてアンケートに答えた80%以上が支給の時期が「遅かった」と答えるなど、制度に不満を感じていることが分かりました。

13人が死亡し、およそ6300人が被害を受けた事件から来月20日で20年になるのを前に、「地下鉄サリン事件被害者の会」などは専門家と協力して事件の被害者や家族、1139人にアンケートを行い、およそ28%の317人から回答を得ました。
教団の一連の事件では、平成20年に被害者や遺族に対して特別の給付金制度が設けられ、被害の程度に応じて1人当たり3000万円から10万円が支給されました。
警察庁によりますと、被害者の8割ほどは支給額が10万円で、アンケートに答えた人のうち60%が「給付金が少なかった」と答えています。
また、この制度が実現したのは事件から13年後で、支給時期が「遅かった」と答えた人が83%に上っています。
被害者の会などは今後、この調査結果を基に、犯罪被害者に対する給付金の充実を国に求めていきたいとしています。

「支援を迅速に行うべき」

「地下鉄サリン事件被害者の会」代表の高橋シズヱさんは、会見で給付金について、「今の症状に見合った金額ではないと感じている人が多い。まだまだ症状が残っていて、大変な思いをされている方がいる」と述べました。
そのうえで「今後、別の事件で多くの被害者が出たときにはより迅速に支援を行うべきだ。今回の調査結果を基に国に制度の充実を求めたい」と述べました。
また「オウム真理教犯罪被害者支援機構」の宇都宮健児理事長は、「給付金について、被害者の率直な気持ちが表れている。今のままでは支援が非常に貧しいと感じている」と話していました。

一連の事件の給付金支給制度とは

オウム真理教による一連の事件の被害者や遺族に国が給付金を支給する制度では、およそ6000人に合計で30億円余りが支払われています。
犯罪被害者への支援策としては、昭和56年に設けられた「犯罪被害者給付金」の制度がありますが、当時は対象が限られていたうえ、教団の賠償も進まないことが課題となっていました。
このため平成20年に「オウム真理教犯罪被害者救済法」が施行され国が特別に給付金を支給することになりました。
制度は一連の事件の被害者や遺族に1人当たり最高3000万円から10万円が支払われるもので、支援団体によりますと地下鉄サリン事件の被害者を中心におよそ6000人が申請し、支給額は30億円余りに上っています。
一方で、教団からの賠償金は今も19億円余りが支払われておらず、被害者の支援団体はオウム真理教から名前を変えた「アレフ」とそこから分裂した「ひかりの輪」に対し、現在も賠償を求めています。

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