傷害事件で無罪判決を受けた男性が、大阪府警の警察官から自白を強要されるなどの不当な取り調べを受けたとして、24日、大阪府に慰謝料を求め提訴しました。
<取り調べの音声>
【巡査長】「あなたが被疑者です」
【男性】「被疑者?」
【巡査長】「犯人です。やりましたと言えば済む話や」
これは、おととし、西堺警察署で行われた取調べを録音した音声です。
<取り調べの音声>
【巡査長】「殴ったやろ」
【男性】「してません」
【巡査長】「『殴りました』やろ」
【男性】「してません」
【巡査長】「あんたが認めたくないだけや」
取調べを担当する巡査長が、自白を迫ります。
この任意の取調べを受けた81歳の男性は、おととし、知人男性を殴ってケガをさせたとして傷害の罪で在宅起訴されました。
その中で巡査長は、男性がかつて小学校の校長だったことを持ち出して、執拗に聴取を続けます。
<取り調べの音声>
【巡査長】「あんたどうやって物事を教えてきたんや。ガキやから適当に言って、あしらっとったんちゃうん?12歳のガキまで適当にあしらっとったら、先生、先生って言うてくるから適当に答えとったんやろ」
「答えろ。答えろ。あんたがそうまでしてやってないという理由は何や。答えろ」
【男性】「やってないからやってない」
さらに巡査長は、根拠なく高齢の男性を非難します。
<取り調べの音声>
【巡査長】「うるさいな。人の揚げ足ばかりとって。くだらんな。不毛や。80まで生きてそれか。人間やっぱり年取ったらプライドだけが残るな」
約2時間半にも及んだこの取調べに対し、男性は一貫して容疑を否認。
そしてその後の裁判では、被害者の傷が殴られてできたものではないことが証明され、今月、男性の無罪が確定したのです。
このため男性は「犯人と決め付けられ、違法な取り調べだった」と訴え、24日、大阪府を相手取り裁判を起こしました。
【男性の代理人・竹中宏一 弁護士】
「殴って出来た傷か、医学的に検証するのが捜査に必要だと思うが、こういった点を全くしていない。やることをやらずに違法な取り調べで自白させようとした、これが問題だと思う」
訴えの中で男性は、黙秘権も告げられずに取調べが行われ、仕事などを侮辱されたとして、慰謝料200万円を求めています。
男性は「精神的苦痛は今も残っております」とコメントしてます。
大阪府警は、取り調べが適切だったか内部調査を始めた一方で、男性の訴えについてはコメントしていません。