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酵素と健康

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酵素は、わたしたちにとって身近で重要なもの。でも、その実体はいまいち、知られていないみたいですよね。「酵素を食べて健康になれるの?」「酵素は体内でどんな働きをしているの?」「酵素と酵母はどうちがうの?」酵素にまつわるいろいろなお話。 …

酵素は、わたしたちにとって身近で重要なもの。でも、その実体はいまいち、知られていないみたいですよね。「酵素を食べて健康になれるの?」「酵素は体内でどんな働きをしているの?」「酵素と酵母はどうちがうの?」酵素にまつわるいろいろなお話。
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  • 参加者からの質問のほとんどすべてが同じ内容でした。
    (クリック)
    「酵素って健康にいいの?」
    「酵素、という健康食品が売られているが、これってなんなの?」
    答えを先に言ってしまうと…
    (クリック)
    「酵素、という健康食品は、本来の意味での酵素ではありません。
    (クリック)
    では、本来の意味の酵素とはなんなんでしょうか。
    酵素、という健康食品はどういうものなんでしょうか。

    それについて、調べたことなどをお話していきたいと思います。
  • 皆さん、酵素というとどういったイメージがあるでしょうか。
    インターネットや雑誌などで見かける酵素がらみの内容というのは、こういう感じだと思います。

    どうでしょうか。ちょっと漠然として、謎めいていますよね。
  • 「酵素」って、とてもわかりにくいものだと思います。
    わかりにくい原因として、まず本来の酵素が、目に見えない…などの理由で、一定のイメージを持ちにくいことがあります。

    さらに、日本では、酵素健康食品や酵素栄養学によって、誤った解説が広がっています。
    本来の酵素は、実は食品産業をはじめとしたいろいろな分野で広く利用されていますが、一般消費者向けに売られることがありません。
    例外は洗剤の酵素と一部の医薬品です。
    そのため、本来の酵素の消費者向けの宣伝というのはまずありません。

    それに対して、健康食品や、それを売るための酵素栄養学については、広告でたくさん目にします。

    そのために、酵素についての誤解が広まりまくっているのが現状です。

    ですから、まず、酵素というものがどういうものかを説明させて頂いて、そのあとで、酵素健康食品について考えてみたいと思います。
  • 発酵と酵母と酵素。

    これらは名前も似ていますが、それぞれ密接な関係にあります。
    これらの3つの関係を知れば、酵素についての理解が多少容易になると思います。

    どうでしょうか。それぞれの意味と関係はごぞんじでしょうか。
  • まず、「発酵」について説明します。この言葉がいちばん身近かもしれません。
    定義は、「微生物を利用して、食品を製造したり、有機化合物を工業的に製造すること」です。
    例えば、お酒、醤油、カツオブシ、などです。

    あと一般にはあまり知られていませんが、一部の医薬品やバイオエタノールなども、微生物の力で作られます。
    バイオエタノールは、お酒と同じように作ります。
  • 発酵というのは、詳しく見ると、微生物が何かを食べて、別の物質に変えるということです。
    例えば、アルコール発酵は、
    微生物の一種である酵母が、ブドウ糖を食べて、エタノールと二酸化炭素に変える、という反応を利用します。
    実は、酵母は酸素が少ないときに、ブドウ糖を食べて、エタノールに変えます。
    酸素が十分あれば、私たちと同じように、ブドウ糖を食べて、水と二酸化炭素に変えます。
    息苦しくても、なんとかブドウ糖からエネルギーを取り出すというのが、アルコール発酵なのです。
  • 発酵食品の例として、日本酒を見てみましょう。

    デンプンは、ブドウ糖という、糖がいっぱいつながったものです。
    コウジカビが、このブドウ糖をバラバラに分解するはたらきをします。

    そして、酵母がこのブドウ糖をエタノールに変えます。
    酵母は直接デンプンを分解することはできないのです。

    また、エタノール以外にも、酵母の作るいろいろな副産物が、お酒の味に深みを与えます。
    この複雑な味わいが、発酵食品の良さの一つといえるでしょう。

    逆に、工業用に発酵を用いる場合はこういった副産物ができるのをコントロールすることや、取り除くことが求められる場合があります。

    お酒の旨みの大元は、お米に含まれているタンパク質です。 これが米麹の中にある「たんぱく質分解酵素」によってペプチドやアミノ酸に分解されます。そしてこのアミノ酸はさらに分解されてエチルアルコール以外のさまざまなアルコールになります。
    たとえば、フェニールアラニンというアミノ酸からβ-フェニールエチルアルコールが生成されるのです。こうしてできたアルコールがお酒のほのかな香りになります。 しかし、お酒の香りを決定的にするのは、酵母によって生成されたアルコールと酸が結合してできたエステル類です。
    日本酒ファンには堪らない吟醸酒の香りはバレリアン酸などのエチルエステルがもとになっています。
    ちなみに日本酒特有の旨みは窒素分が多いことに由来しています。 ビールやワインに比べ、お米のタンパク質からくる窒素分が日本酒の旨みを作っているのです。
  • 発酵食品と、それに関わる微生物の例です。
    これらは、もともとどういう菌が関係しているかなど分からない状態で利用されてきました。
    それだけに、環境中によくいる、増えやすくて丈夫な菌が利用されています。
    また、他の雑菌が増えにくいような環境で増えたり、自分自身がそういった環境を作り出す菌もあります。
    例えば、乳酸菌・酢酸菌などは酸を出すために周りが酸性になります。

    さらに、無菌操作などができない時代、製法においても、雑菌の繁殖をできるだけ抑えるような様々な工夫がされてきました。


    酢酸菌はナタデココを作る種類もいる。(セルロース)人の役にたつが、ビールを作るときにこれが増えるとすっぱくなってしまう。
  • 次に、すでに出ていますが、酵母のお話です。

    「酵母」というと、通常、サッカロマイセス・セレビシエ、出芽酵母という微生物のことを指します。
    英語ではイーストと言います。
    サッカロマイセス・セレビシエの中でも、パン作りが得意とか、酒造りが得意とかいろいろな株があります。
    用途に応じて、いろいろな菌株を使い分けています。
  • 発酵自体は、紀元前とか大昔から、ずーっと利用してきました。
    でも、微生物による作用だということは分かっていませんでした。
    顕微鏡もなかったので、微生物を見て調べることもできませんでした。

    特にアルコール発酵については、「生物による反応なのかどうか」で、19世紀に大論争になりました。

    そして、パスツールという人が、アルコール発酵は酵母という微生物による作用であることを発見しました。
  • さて、いよいよ酵素のお話です。

    初めて酵素が見つかったのは18世紀、鳥の胃の中にあって肉を溶かすものとしてでした。

    しかし、酵素についての理解が進んだのは、先ほど紹介したアルコール発酵をめぐる論争を通じてだったのです。
    19世紀、アルコール発酵を巡って60年間に渡る論争がありました。

    そのテーマとは…(クリック)
    「発酵には生命が必要なのか」ということです。
    先ほど、発酵は微生物の作用だと言いました。ですから、当然、発酵には生命が必要と言えます。

    しかし、この時代の「生物が必要」というのは、今でいう感覚と少し違っていました。
    (クリック)アルコール発酵に生物が必要だという人たちは、生命にはバイタルフォースという神秘的な力があって、その力こそが、発酵を起こすものであると考えていました。
    こういう考え方を「生気説」といいます。

    一方、アルコール発酵に生物は不要派の人たちは、(クリック)発酵は純粋な化学反応で、その反応を促進するような因子があると考えました。
    で、そのような因子を「ファーメント、発酵素」、後に酵素(エンザイム)と呼びました。しかし、このときは、まだ実際に発酵素を取り出したり、実験的に証明することはできませんでした。

    パスツールによってアルコール発酵が確かに酵母の作用であるということが明らかになったのは、生物学上の大発見でした。
    この時は、それで生気説、バイタルフォースの存在が明らかになった、と思われました。


  • ところが、そののち、偶然の発見により生気説はくつがえりました。

    ブフナーという酵母の抽出液について研究した時のことです。

    酵母を培養した培養液では、当然、糖からエタノールができます。
    ところが、酵母をすりつぶして濾過した酵母抽出液に糖を加えても、エタノールができることがわかったのです。

    ブフナーは、この発見でノーベル賞をとっています。
  • 酵母抽出液では、酵母はすり潰されて死に、濾過されているので、生きた酵母はいないのです。
    つまり、酵母によるアルコール発酵は生きた酵母のバイタルフォールではなく、
    酵母細胞の中にあった「発酵素」の働きであることが明らかになったのです。

    この時、酵素が具体的にどういうものかはまだまだ分かっていませんでした。
    この後、この「発酵素」が具体的にどういうものなのかについての研究が急速に進みました。
  • ではここから、その後の100年で酵素についてわかったことを説明します。
    少しむずかしいところがあるかもしれませんが、疑問点があればすぐ質問してください。
    ここを乗り切れば、酵素というものをよく理解していいただけると思います。

    酵素は、タンパク質でできています。
    タンパク質というのは、アミノ酸を原料として、生物の体の中で作られます。
    アミノ酸にはいろいろ種類があり、それが一定の順番で、数十個から数百個つながることでタンパク質になります。
    そして、ただアミノ酸がつながっただけでなく、決まった形を取るよう自然に折りたたまれる、この形を立体構造と言いますが、これがとても大切です。

    酵素を始めとしたタンパク質は、不要になったり、立体構造が崩れたりすると、分解されてアミノ酸に戻り、再利用されます。
    また、食事して摂取したタンパク質も、分解されてアミノ酸として吸収されます。
  • 酵素はタンパク質でできていますから、タンパク質の一般的な性質を持っています。

    まず、分子のサイズが比較的大きいこと。アミノ酸がたくさん繋がっているので、大きい分子になります。
    先程も言ったように、立体構造が大切であること。
    この立体構造が、熱や酸・アルカリによって崩れてしまい、タンパク質の機能が失われやすいため、熱や酸、アルカリに弱くなっています。
  • 次に、酵素の機能について説明します。 

    先ほどの酵素の発見のところで説明したように、酵素は化学反応を進ませる因子、触媒として働きます。

    触媒について説明します。

    化学反応が起こるときに、エネルギー的なハードルを超える必要があります。
    酵素があると、このハードルが低くなります。そのことで、化学反応の速度が劇的に速くなります。
    それにより、見かけ上、触媒ナシではおこらない反応が起こる、みたいなことになります。
  • 化学反応とは、

    化学物質のパーツが切れたりくっついたりして別の化学物質に変わることです。

    「化学物質」というと難しく感じたり、特別なものに感じるかもしれません。
    「化学物質」という言葉の定義はいろいろありますが、ここでいう「化学物質」には、人体の成分や食物などの成分も含まれています。
    例えば「水」や「タンパク質」「デンプン」なども、化学物質と言えます。

    「タンパク質」という化学物質が、切れると、「アミノ酸」という別の物質に変わります。
    生物の体内では、ものすごくいろいろな化学反応が常時おこっています。


    原子、分子および分子の集合体や高分子重合体のような、独立かつ純粋な物質[1]。混合物や不純物が多いものは除外される。特に化学が研究対象とするような物質[2]。
  • 酵素の触媒作用による反応の加速の例を見てみます。

    デンプンは、ブドウ糖がたくさんつながってできた物質です。
    このつながったブドウ糖の鎖を切ってバラバラにするのが、αアミラーゼです。

    ヒトの唾液や膵液に含まれていて、酵素として有名なので、ご存知の方も多いかと思います。

    このαアミラーゼによってデンプンがバラバラにされる反応で、デンプンの半分がなくなる、つまりバラバラになるまでの時間を「半減期」とします。
    半減期が5分となるような量のデンプンが、酵素ナシで分解されるにはどのくらい時間がかかるでしょうか。

    答えは、800万年です。
    酵素ナシでも、800万年放置しておくと、デンプンが自然に分解されている…という計算です。
    実際にはそんなに放置しておくことはできません。
    生物の一生といった時間スケールでは実質的にデンプン分解反応は「起こらない」ように見えるでしょう。

    このように、酵素は「見かけ上、自然には起こらない反応を起こるようにする」のです。
  • 触媒は、反応の前後で自分自身に変化はありません。
    つまり、酵素は何度も使い回すことが可能です。

    「ハサミ」が、ものを切る前後で変化しないのと似ています。
  • 酵素が触媒として働くのに必要なのは、働く相手の化学物質にピッタリくっついて作用することです。

    酵素はアミノ酸の鎖が折りたたまれてできているので、ある程度弾力があり、働く相手を包み込むように変形します。

    相手にピッタリくっつくには、立体構造がものすごく重要になります。
    アミノ酸の鎖が切れなくても、立体構造が崩れてしまうと、酵素として働くことができなくなります。
  • 酵素は、先程も言いましたように、ぴったりはまる相手に作用します。
    ですから、一種類の酵素にできることは、原則一つです。



    Βアミラーゼ は端から2つずつ切る
    プルラナーゼは枝分かれの部分を切る
    イソアミラーゼも枝分かれの部分を切るが、切る時の枝の残り方が違う
    他にも端から一つずつ切っていくもの、真ん中からズタズタに切っていくものなどいろいろある。
    それぞれ異なるタンパク質で形も違う
  • 酵素は、生物の細胞内で作られます。
    そして、必要なときに必要なものだけが作られるのです。

    ヒトのような多細胞生物では、かなり複雑に、いつどの酵素が作られるかというのが制御されていますので、
    単細胞の微生物の例をあげます。

    コウジカビは、米などのデンプンに出会うと、それを分解するための酵素、アミラーゼを分泌することが分かっています。
  • 酵素を始めとする、タンパク質を作るための設計図、つまりアミノ酸をどのように並べるかという情報は遺伝子に書かれています。

    ヒトは約2万~2万五千この遺伝子を持っています。
    このすべてが酵素というわけではありませんが。

    膨大な種類の酵素の中から、必要なモノを必要なときに作る、ということが非常に重要です。
  • この図は、玄米の中で作られる化学物質です。この○とか□の一つひとつが異なる化学物質です。
    この○や□をつなぐ線のところで、化学反応が起こります。
    原則として、この線の一つ一つを別の酵素が起こさせることになります。
    実際には似た反応がありますので、同じ酵素が複数の反応に関わっていることは、多々ありますが。

    (クリック)生体内の化学反応のネットワークは、ひとつの社会のようなものです。
    (クリック)必要なときに、必要な酵素が作られることで、初めて「今細胞に必要な物質」が作られるようになるのです。
  • フィードバック阻害など

    酵素反応のいいところは、

    一般的に、化学反応を加速させるには、熱を加えたりする必要があるのですが、酵素があれば、常温常圧、中性付近で反応を起こすことができます。
    これは、生物にとって重要な性質です。細胞の中で体温以上に加熱することが難しいからです。

    また、酵素はぴったりはまる相手に作用するので、目当ての反応だけを進ませることができます。
    これも、いろいろな物質が混在する生物の体には、大きな意味を持つ性質です。

    さらに、酵素はごく少量で効果があります。そして、不要になったら、生体内では、分解されてアミノ酸としてリサイクルされます。
    このため、無駄がありません。


  • 私たちの体の中では、様々な化学反応が起こっています。

    生きるために、食物を分解して栄養を摂取し、それを原料に体に必要な物質を作り、不要なものは分解します。
    このような反応が秩序正しくコントロールできていることは、一個の生命体として、調和を保って存在するのに不可欠です。

    こういった化学反応は、自然に起こるものはほとんどありません。
    酵素を通じて、反応がコントロールされています。

    つまり、酵素は、生命活動の根幹を担っていると言えます。
  • では、ここからは、実際のいろいろな酵素の形を見てみたいと思います。

    酵素は、分子としては大きいと言いました。しかし、そのサイズは顕微鏡では見ることができないくらいです。
    酵素の形は目には見えないのですが、どういう構造をとっているのかを、特殊な方法で解析することができます。
    その結果に基づいて、CGなどでイメージ図をつくります。
    酵素の研究をしている人は、こういう図を見ることで、理解を深めるのです。

    酵素のイメージ図の描き方はいろいろありますが、よく使われるのが、

    この茶色いリボンみたいな描き方と、灰色の雲みたいな描き方です。

    茶色い方は、酵素を構成するアミノ酸の鎖がどういう立体構造をとっているかを模式的に表したものです。
    灰色の方は、酵素が実際にどういう形になっているかを表したものです。

    ここに描かれているオレンジの棒みたいなものが、酵素が作用する相手の分子です。
    アミラーゼが作用する相手はデンプンですが、ここではデンプンを構成するブドウ糖が描かれています。
  • これはリゾチームです。卵白などに含まれています。

    これが、酵素を構成するアミノ酸の配列を描いたものです。
    こちらは、アミノ酸がどういう立体構造を取るかを描いた模式図。
    そして、これが酵素がどういう形になっているかを描いたものです。

    ここに埋まっているのが、リゾチームが作用する相手の分子です。
    これは、バクテリアの細胞壁の成分です。
    リゾチームはバクテリアの細胞壁を分解して攻撃します。


    バクテリアの細胞壁を分解→バクテリアが浸透圧で壊れる
    細胞壁→炭化水素の鎖、ペプチドのインターロック
    卵白由来
  • 酵素は比較的大きな分子なので、作用する相手は自分により小さいことが多いのですが、
    こういう更に大きい分子に作用することもあります。

    これはDNAトポイソメラーゼといい、DNAが変にねじれた時、二重らせんに巻き付いて一旦片方の鎖を切って繋ぎ直し、ねじれを直す働きをします。

    DNAに巻き付いて、一旦片方の鎖を切り、ねじれをなおす
  • ここまでのまとめです。酵素、酵母、発酵が区別できるようになりましたか?

    酵母は微生物です。一般的にサッカロマイセスセレビシエという菌を指します。

    酵母を始めとする生物が、酵素を作ります。
    酵素はタンパク質でできていて、顕微鏡で見えないサイズのものです。
    酵素は化学反応を加速させ、促します。

    化学反応は、化学物質が分解したり、くっついたりして、別の化学物質になることです。
    たとえば、グルコースがエタノールと二酸化炭素になります。グルコース、エタノール、二酸化炭素は化学物質です。

    生物の働きを利用して、食品等を作ることを発酵といいます。
  • では、ここからいよいよ、酵素健康食品についてのお話です。
  • 口から入ったタンパク質は、消化されて小腸の粘膜から吸収され、体内に入ります。
    この時、細胞を通ることになるので、大きな分子をそのまま吸収することができません。
    消化管の中は、実は体の外なのです。

    酵素=タンパク質=でかい

    そのままでは、小腸の粘膜から吸収されない。
    バラバラのアミノ酸か、せいぜい、数個つながったものにまで分解される。
  • 消化酵素は体内に吸収されなくてもよい。消化管の中で働くから
  • http://www.pharm.or.jp/souyaku/takadiastase.shtml

    農商務省工部局勧工課の技師を拝命します。西洋技術を一刻も早く導入させることが時流であった当時、彼は日本古来の伝統的な発酵産業は勿論、藍染めや和紙などにも科学のメスを入れ、何か真新しい事業を起こすことに情熱を注ぎました。今でいえば極めてベンチャー精神旺盛な方だったようです。西洋技術の導入ならばそれを熟知している西洋人を採用した方が手っ取り早いと新入りの身分でお偉方に言ったというエピソードもあります。

    当時、麦芽由来のジアスターゼが消化剤としてパーク・デービス社から販売されていました。しかし穀物由来の酵素は大体において酵素力も弱く不安定なのが欠点でした。そこに麦芽由来のものに比べて約20倍も酵素力の強いタカヂアスターゼが安価に持ち込まれ

    譲吉が埋葬されているニューヨーク・ウッドローン墓地の案内には、譲吉の功績を次のように讃えている。
    「1896年にデンプン分解酵素を開発し“近代バイオテクノロジーの父”として認めらる。1900年には世界初の科学者としてアドレナリンを分離し、1912年にはワシントンD.C.の河畔を美化している有名な桜の木を寄贈した」。
    今、世の中で、100年以上の間、利用されている薬は3つしかない。タカヂアスターゼ、アドレナリン、アスピリン。そのうち2つが譲吉の功績である。
  • 酵素栄養学の理論のキモとなるのが「潜在酵素」という概念です。
    潜在酵素は、酵素の元のようなもので、その量に限りがあり、それが尽きると寿命も尽きる。
    そこで、消化酵素を食物から摂取(食物酵素)して節約し、それ以外の代謝酵素*1をつくるのに回そう、という話です。

    ちなみにこの「消化酵素と代謝酵素、そして食物酵素」という分類自体も、酵素栄養学独自のものです。
    生物学的には、酵素は触媒作用の反応形式により6つに分類されています。

    「酵素を食べて補う」というのは、タンパク質がアミノ酸に分解しないと吸収できないことを知っていれば、ツッコミを入れられてしまいます。
    「消化酵素以外は、口から食べて補うことはできないんじゃないの?」と。

    「酵素栄養学」では、「潜在酵素」という存在を出すことで、「消化酵素を補うことで、潜在酵素の節約になり、体に良い」という理論を展開しているのです。


    ローフード推し
  • ハウエル氏の経歴
    1898年生まれでlimited medical license(制限付きの医師免許?)を取得して1930年までサナトリウムに勤めたあと、進行した疾患を治療するための診療所を開業し、そこで栄養療法を行った
    1932年にNational Enzyme Companyという会社を創立し「Food enzyme nutrition(食物酵素栄養学)」の研究と、独自のサプリメントの提供を行ったそうです。その後は「酵素栄養学」の本を出したり、サプリ会社をどんどん発展させて行ったりしました。

    というわけで、「酵素栄養学」も、大高酵素と同時期に考えだされた、当時話題になっていた「酵素」にフォーカスした健康法なのかもしれません。


    突っ込みどころが山ほどある。基本、1940年代の知見で書いている。論文などを引用しているが、結果を自分の都合に合わせて根拠なく解釈している。
  • 酵素が作られない理由は原料の不足ではない

    老化→代謝量の現象を反映しているのであって、酵素が減ることが原因ではない
  • 植物はデンプンを貯蔵してそれを糖に変えるてエネルギーとしているので、そのためのデンプン分解酵素を持っています。
    また、動物の肉にはタンパク質分解酵素があります。

    その他、食物が生物である以上、その中には当然酵素が含まれています。
    しかし、その働きは、ゆっくりです。
    さつまいもを37度で数時間、肉を37度で数時間放置したところで、ドロドロに消化されてはいませんよね?

    それよりも、さつまいもをふかして人間の酵素で分解できる形にしてやる方がいいです。
    肉だって、生肉より焼いた肉のほうが食べやすいし、安全です。
    ふかしたじゃがいもや焼いた肉は、食べてしまえばあっというまに消化できます。
    「消化酵素を節約する=消化を助ける」という意味で、生の食物を食べるというのはそもそもナンセンスです。

    もし食物に含まれる酵素の力を有効に使うというなら、食べる前です。
    例えば、よく熟した果物を選ぶとか、最近ではエイジングビーフという、熟成させた肉もありますね。
  • http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/nisekagaku/nisekagaku_memo091102.pdf
    健康食品のたぐいには「体験談商法」というものがあります。「これこれを食べ
    たら、こんな病気が治りました」という体験談を集めた本を売ったり、インター
    ネットで体験談を紹介したりして、効果を信じ込ませるのです。体験談自体はも
    しかすると事実なのかもしれません。でも、それだけではなんの証拠にもなりま
    せん。たまたまかもしれないし、別の理由があるかもしれないからです。体験談
    10商法のほとんどすべては「たまたま」と思っておいたほうが安全でしょうね (体験
    談そのものが捏造という場合もあります)。
    では、たまたまではないことをどうやって確認するのか。病気の原因を調べる
    疫学の考え方が役に立ちます。一番の基本は「2かける2表」を作ることです。た
    とえば、お祈りの効果を知りたいとしたら、お祈りをした場合やしなかった場合
    の結果をたくさん集めて、以下の A から D を埋めます (何回ずつあったかを書け
    ばよい)。
    効果あり 効果なし
    祈った A B
    祈らない C D
    体験談は A だけです。でも、もしかすると A と B は同じくらいの数かもしれな
    い。それならお祈りに効果はありません。あるいは、A は B の二倍くらいだけど、
    C も D の二倍くらいかもしれない。そうだとすると「効果あり」が多いのはお祈
    りの効果ではないわけです。もちろん、自分でこの表を埋めるのは難しいでしょ
    う。でも、「効果があった」という体験談を見聞きしたら、いったいこの表がちゃ
    んと埋まっているのかどうかを考えてみてください。だいじなのは、A にどれだ
    けたくさんの数字が書かれていても、B から D までに数字がはいっていなければ
    無意味だということです
  • じつは、この酵素栄養学、本家では「ローフード」もしくは「酵素サプリ」で食物酵素を補うことを推しています。

    日本の「酵素」健康食品のような、発酵食品は、エドワード・ハウエル氏が設立した会社で扱う商品には存在しないのです。

    発酵食品を「酵素」と称して売る、というのは日本独自の現象のようです。

    日本にも、実はこのような酵素サプリも一部あります。「ミラクル・エンザイム」のしんや酵素の「夜遅いご飯でも」はデンプン分解酵素が入っていると思われる。
    ただし「麹菌培養エキス」として表示されている。
    鶴見隆史のサプリもこれ。

    日本で酵素が注目されてこなかった理由は、いくつかあります。 まずその一つは、酵素製品が医薬品であることです。 (略) 二つ目に、アメリカのようにさまざまな酵素の健康・栄養補助食品がないことです。日本では液体状の酵素製品などがありますが、医薬品としての規制があるために、アメリカのように手軽に使用できるものが多くありません。(p.223)
  • たぶん、昔からあった「大高酵素」のような、『酵素」の名を持つ発酵食品に、
    あとから輸入した酵素栄養学の理論をとってつけたのではないでしょうか。
    「発酵=体に良い」というイメージもあり、日本では受け入れやすかったのだと思います。

    酵素ドリンクの売り文句は、「色々な野菜や野草を原料に・発酵させた・酵素たっぷり」というようなものが多く、「酵素栄養学」を元にしたローフード健康法(生の野菜ジュースで酵素を摂取)のイメージと、発酵食品の酵素が多そうなイメージとを融合させたような感じです。

    最近では、この「酵素」健康食品を、米国に輸出しているという話もあります。
    どの程度向こうで認知されているのかはわかりません。
  • 正しい話と間違った話
    古い話(酵素栄養学が成立した1940年代の話)と今の話

    がごちゃまぜに書かれていて、真偽の区別がつきにくい。
  • セルロース分解酵素は非晶性セルロースのみを分解するため風合いは守る
  • チーズを固めるのに使う酵素を「レンネット」といいます。
    キモシンと呼ばれるタンパク質分解酵素が主成分で、もともとは仔牛の胃からとっていました。
    レンネットだけを取り出すことができないために、牛を殺すしかなく、安定供給が難しかったそうです。

    そこで代替となるものをさがしたところ、カビの一種が作る無コールペプシンという酵素が使われるようになりました。

    レンネットによる乳凝固の原理[編集]
    レンネットを加える前段階で、まず乳を乳酸発酵させる。無殺菌の乳では環境微生物中の乳酸菌により乳酸発酵が起こるが、殺菌乳では多くの場合、人為的に乳酸菌を加える。乳酸発酵した乳は酸性になり、カルシウムイオンが増えて来る。
    乳中でカゼインなどの蛋白質(カゼインミセルという直径20~600μの分子を形成している)は−の電気を帯びており、反発し合って凝集することは無い。特にκカゼインはカルシウムイオンに対して安定で、このためカゼインミセルはこのままでは沈殿しない。
    ここでレンネットを加えると、プロテアーゼであるレンニンがκカゼインに作用してその結合を切断する。結果、κカゼインは浮遊力を失って不安定になり、カゼインミセルから分離する。そして−の電気が弱まったカゼインミセル同士がカルシウムイオンを介してくっつき、脂肪球と共に沈殿凝固する。これが乳の凝固の原理である。
  • http://www.kms.ac.jp/~kishoto/kishoto2no1.htm
    胃の細胞内で作られる。
    胃酸中・酸性下でキャップが自然に外れる。
  • Transcript

    • 1. 参加者の皆様からのご質問 「酵素健康食品」ってどうなの? 「酵素健康食品」は、 本来の意味での酵素ではない では、酵素とはなんでしょう? 酵素健康食品とはなんでしょう?
    • 2. 酵素ってなんだろう? 酵素のイメージ ダイエット? 美容? 生の食物に含まれる? 酵素風呂?? 手作り酵素?? 洗剤 酵素洗顔 etc どんなもの?なにをするもの? どうやって作られる?
    • 3. 「酵素」がわかりにくい理由 • 目に見えない • 決まった形がない • 機能が幅広い • 酵素健康食品 • 酵素栄養学 一定の イメージを 持ちにくい 誤った解説が 広まっている
    • 4. 第一部 発酵と酵母と酵素と
    • 5. 発酵 • 発酵とは、微生物を利用して、食品を製造したり、 有機化合物を工業的に製造すること 食品製造の例 ・酒 ・醤油、味噌、納豆 ・かつおぶし ・酢 ・チーズ ・調味料(アミノ酸) ・パン etc 有機化合物製造の例 ・バイオエタノール ・医薬品
    • 6. 発酵 微生物が何かを食べたりして、別の物質に変える。 ブドウ糖 エタノールと 二酸化炭素 微生物 (酵母) ヒトが利用させてもらう アルコール発酵
    • 7. 発酵食品 例)日本酒づくり 酵母 でんぷん (ブドウ糖が 連なったもの) ブドウ糖 エタノール と二酸化炭素 コウジカビ
    • 8. 発酵 • 酢: 酢酸菌(エタノール→酢酸) • キムチ、ぬか漬け、ヨーグルト、ザワークラウト: 乳酸菌 • ワイン、ビール、パン: 酵母 • かつおぶし: コウジカビの仲間 • 味噌、醤油、酒: コウジカビ+酵母 (味噌は乳酸菌も) 環境中にいて、増えやすい菌・丈夫な菌を使ってきた
    • 9. 酵母 通常、Saccharomyces cerevisiae(出芽酵母)を指す。 パン・酒・ビールの発酵に利用される。 英語ではYeast(イースト)。 *学術的には、「単細胞の真菌」を広く指す。
    • 10. 脱線:パンの「天然酵母」問題 酵母は生物なので「人工」ではありえないが… 「イースト」: 製パン用酵母。純粋培養。パン生地中で高 い二酸化炭素ガス発生力を示す種類。 「天然酵母」: 発酵種。自然界に存在する酵母を小麦粉 などと混ぜて増やしたもの。酵母以外の微生物(乳酸菌 など)も含まれる。 天然酵母表示問題に関する見解 社団法人 日本パン技 術研究所 http://www.jibt.com/image/tennenkobohyoji.pdf
    • 11. 発酵と酵素の発見(1) 環境中の微生物による発酵を、仕組みを知らないま ま利用してきた(アルコール、酢、納豆、パンなど) ↓ 19世紀末、アルコール発酵が酵母(微生物)による 作用であることが明らかに パスツール 19世紀 アルコール発酵の研究
    • 12. 発酵と酵素の発見(2) 発酵の大きな謎 (19世紀) 発酵には「生命」が必須か? 必要派(生気説派)…生命にはバイタルフォースがある 不要派…発酵は化学反応→ 反応を進ませる因子(触媒)がある 発酵素 ferment 酵素 Enzyme En Zyme In Yeast
    • 13. 酵母 発酵と酵素の発見(3) 糖 エタノールと 二酸化炭素 酵母抽出液 (無細胞) すりつぶして除く エタノールと 二酸化炭素 生きた酵母細胞が いなくても発酵は 起こる! ブフナー
    • 14. 発酵と酵素の発見(4) • 酵母抽出液では、細胞は取り除かれていたが、酵母 が作った酵素が残っていた • 発酵に必要なのは、酵母のバイタルフォースではなく 酵素だった • 生気説は完全に否定された • この後、20世紀に、いっきに酵素についての研究が 進む… アルコールデヒドロゲナーゼ とかいう 酵素・・
    • 15. 酵素とはなにか(1) • 酵素はタンパク質でできている アミノ酸 (食物から) つながる (数十個~数百個) 折りたたみ (重要!) タンパク質
    • 16. 酵素とはなにか(1) • 酵素はタンパク質でできている タンパク質の一般的な性質 ・分子のサイズが比較的でかい(高分子) ・立体構造(おりたたみ)がだいじ ・熱や酸、アルカリに弱い
    • 17. 酵素とはなにか(2) • 酵素はタンパク質でできている • 酵素は触媒として働く 触媒とは… 化学反応の速度を加速させるもの
    • 18. 酵素とはなにか(2) • 酵素はタンパク質でできている • 酵素は触媒として働く 化学反応とは… 化学物質のパーツが切れたりくっついたりして別の 化学物質に変わること 例 タンパク質の分解 「タンパク質」 が 切れて 「アミノ酸」 になる
    • 19. 化学物質 化学物質とは、分野や文脈に応じて以下のような様々な意 味で用いられている言葉である。 1. 原子、分子および分子の集合体や高分子重合体のよう な、独立かつ純粋な物質。混合物や不純物が多いもの は除外される。特に化学が研究対象とするような物質。 2. 元素または化合物に化学反応を起こさせることにより得 られる化合物(化審法における定義)。 3. 人工的、あるいは工業的に合成した物質。天然物に対す る概念として用いられる。なお広辞苑は、この意味の存 在に言及した上で「元々このような意味はない」と指摘し ている。 Wikipedia「化学物質」より H2O C6H12O6 C2H6O 水 ブドウ糖 エタノール 独立かつ純粋な物質 は、化学式で表すこ とができる。
    • 20. 酵素による化学反応の加速 酵素が あるときー! デンプンの分解 酵素が ないときー! 半減期=800万年 (見かけ上)酵素なしではおこらない 反応がおこる 半減期=5分 αアミラーゼ
    • 21. 酵素とはなにか(2) • 酵素はタンパク質でできている • 酵素は触媒として働く 触媒は… 反応の前後で自分自身は変化しない。
    • 22. 酵素とはなにか(2) • 酵素はタンパク質でできている • 酵素は触媒として働く 酵素は働く相手にくっついて作用する。 くっつくところが相手とピッタリになるような形が大事。 →折りたたみ(立体構造)が命!!
    • 23. 酵素とはなにか(3) • 酵素はタンパク質でできている • 酵素は触媒として働く • 酵素はそれぞれ一つの得意技を持つ 例) でんぷんを分解する酵素「アミラーゼ」の仲間 分解様式により 異なる酵素が担当 プルラナーゼ β-アミラーゼ イソアミラーゼ β-アミラーゼ
    • 24. 酵素とはなにか(3) • 酵素はタンパク質でできている • 酵素は触媒として働く • 酵素はそれぞれ一つの得意技を持つ • 酵素は必要に応じて細胞内で作られる コウジカビ(微生物) でんぷん (米) アミラーゼ 分解
    • 25. 酵素とはなにか(3) • 酵素はタンパク質でできている • 酵素は触媒として働く • 酵素はそれぞれ一つの得意技を持つ • 酵素は必要に応じて細胞内で作られる 酵素を作るための情報は遺伝子に書かれている。 ヒトは約20000~25000個の遺伝子を持っている。
    • 26. http://www.riken.jp/pr/press/2012/20120208_2/digest/ 独立行政法人 理化学研究所 玄米の中で作られる物質…これらが作られるルートのそれぞれに酵素が働いている 生体内の化学反応のネットワークはひとつの 社会のようなもの 必要なときに必要な酵素が作られることが大切
    • 27. 酵素反応のいいところ • 温和な条件で反応が進む→生体内 • 目当ての反応だけを進ませることができる • ごく少量で効果がある • いらなくなったらアミノ酸としてリサイクル
    • 28. 酵素とはなにか 私たちの体の働きの多くに化学反応が関わる 食物の消化(分解)、呼吸、細胞の増殖etc. 生きるとは… 体の中でおこる化学反応がコントロールされ、 調和が保たれている状態とも言える。 そのほとんどに、酵素が関わっている つまり 酵素は、 生命活動の根幹をになう
    • 29. 酵素のかたちを見てみよう! ヒトのアミラーゼ (リボンのような描き方) アミノ酸の 鎖を模式的に描いている (でこぼこした描き方) 実際の形のイメージ
    • 30. 酵素のかたちを見てみよう! リゾチーム ↓アミノ酸の並び方を描いたもの 酵素が作用する相手 (ペプチドと糖)
    • 31. 酵素のかたちを見てみよう! DNAトポイソメラーゼ DNA分子
    • 32. 発酵 ここまでのまとめ~酵素、酵母、発酵~ 酵素 作る 酵母 小さいいきものです! 顕微鏡で見てね! タンパク質だよ! 顕微鏡でも見えないよ! 生き物じゃないよ! グルコース→エタノール+二酸化炭素 化学反応 促す 化学物質です!
    • 33. 第二部・酵素を食べて健康に?
    • 34. 酵素健康食品は「酵素」? • 酵素ドリンクや「○○酵素」という健康食品の ほとんどは、実は「発酵食品」です。 • 基本的に、多種類の植物のエキスなどを(長 期間)発酵・熟成させる、といった製法。 • 微生物が増えていれば、酵素が入っていない とはいえないが… • 実際の中身がどういった組成なのかは、よく わからない。複雑な混ざり物と思われる。
    • 35. なぜ「酵素」と名乗っているのか(推測) • 「大高酵素」は1926年創業。 • 19世紀末の「発酵論争」から「酵素」の発見 を経て、この頃、生物学のホット・トピックスは 「酵素」だった(1926年、酵素の初の結晶化 でサムナーがノーベル賞受賞している)。 • 「酵素」が今でいうところの「iPS細胞」みたいな すごいモノだった。 • このころ、発酵食品に「酵素」と名付けた健康 食品が生まれたのではないか?
    • 36. 酵素サプリ • 発酵食品を濃縮したもの • 酵素を含む医薬品とは異なる 酵素ドリンク • 「○○酵素」と同様、多数の植物を発酵させ たもの。
    • 37. 手作り酵素ジュース • クックパッドでレシピ109件 • 果物+砂糖+水を瓶に入れる • 毎日(手で)混ぜる • 1周間で発酵してシュワー…
    • 38. 手作り酵素ジュース • スズメ8さんが酵素ジュースで実験してみた (http://togetter.com/li/571728)によると、カビ がすごく多い+雑菌 ・植物表面には野生の酵母がいる。これが増え たら成功? ・伝統的な発酵食品には、雑菌を増やさない工 夫がある。加熱、温度、pH など… ・これも、一種の発酵食品。
    • 39. つまり… • 健康食品の世界では、「いろいろな植物素材 を発酵させたもの」を「酵素」と呼ぶ…と思われ る。 • もちろん、これは本来の「酵素」ではない。 • 発酵食品であれば、酵素も含まれているかも しれないが、組成はそれぞれ異なる。 • 「酵素」がホットワードだった時代に命名? • ややこしいので、以下この意味での「酵素」は 「『酵素』食品」と呼びます。
    • 40. あえて…もし、酵素を食べたら? • タンパク質はアミノ酸に分解され、吸収される。 • 分解された段階で酵素としての働きはなくなる。 • (消化酵素以外は)「食べて補う」ことはできない。
    • 41. 口から摂取する酵素 • 酵素医薬品(サプリとは違います!) – 消化酵素(でんぷん、タンパク質、脂質などを分 解)を含む経口薬が販売されている – 胃酸に耐えるように改良した酵素(耐酸性) – 胃酸に耐えるコーティングがされているものもあ る – 消化酵素以外は注射、外用薬として用いる 例)タカヂアスターゼN1 1894年、高峰譲吉によって 発見された「タカヂアスターゼ」を改良し、 デンプン・タンパク質の消化力を併せ持つ
    • 42. (脱線)麹と高峰譲吉 • 1854年生まれ(母の実家は日本酒醸造元) • スコットランドに留学し、スコッチウイスキーの醸 造に用いられる麦芽の酵素(アミラーゼ)に注目 • 麦芽の代わりに日本酒の麹を使う「麹によるア ルコール発酵」で英国・米国特許 • 米国人キャロラインと結婚 • ふすまを使った麹の固体培養→現在も使われる • コウジカビ由来のタカヂアスターゼ→消化剤、ア ルコール製造などのデンプン分解酵素(米国 パーク・デービス社) 日本薬学会「タカヂアスターゼ日本の伝統的醸造技術と高峰譲吉の魂が生んだロングセラー」 http://www.pharm.or.jp/souyaku/takadiastase.shtml
    • 43. 「酵素」食品の理論(1) 酵素は体にとって大切 ↓ 体内の酵素が不足すると不健康になる/太る ↓ 不足しがちな酵素を補う 生きた酵素? 低分子化した酵素? 低分子化した酵素は働かない。 「生きた」酵素も、 消化されれば低分子化される。
    • 44. 「酵素」食品の理論(2) 酵素は体にとって大切 ↓ 体内の酵素が不足すると不健康になる/太る ↓ 代謝酵素は補えないが、 消化酵素を補うことで潜在酵素を節約できる。 背景にある理論:「酵素栄養学」
    • 45. 酵素栄養学の理論 潜在酵素 (酵素の元) 消化酵素 代謝酵素 ・持っている量が決まっている ・酵素を作ることで減っていく 食物酵素 食物の中にある酵素(食物酵素)で 消化酵素を補い、潜在酵素を節約 する 酵素の節約
    • 46. 酵素栄養学 • エドワード・ハウエル氏の独自理論 • 元となった本は1946年に出版 • 酵素が体内でどのように作られるかについて 一気に研究が進むより前に考えられた • 現代の生物学の常識からはかけ離れた理論 「私は、生命体を構成する有機物とそれらが作り出す酵素には、カ ロリー的なエネルギーとは異なる「生命エネルギー」とでも言うべき ものが存在する、と考えています。」(「キラー・フード」冒頭) 「自然はすべての生の食べ物のなかに、人間が消化しやすいよう に、最終的には人間の体外でも分解できるように、正しく、バランス のとれた大量の食物酵素を入れてくれている」(同p.68)
    • 47. 「酵素の節約」には意味がない • 「潜在酵素」は一般的な生物学の用語ではない • 酵素の原料は「潜在酵素」ではなくアミノ酸 • 酵素栄養学では、「潜在酵素」が具体的にどうい うモノなのか、まったく示されていない • タンパク質の作られ方はほぼ解明されているが、 「潜在酵素」に相当するものは見つかっていない • 一生に作る酵素の元を生まれた時に持っている なら、赤ちゃんの時に相当たくさん持ってるは ず?
    • 48. 「酵素の不足」は気にしなくてよい • 消化酵素を作る量を減らしても、その分、他の 酵素が作られるわけではない。→「酵素の節 約」は無意味 • 酵素は必要なときに必要なものが作られること が大切。 • 「体内の酵素量」→気にする必要がない。(個々の 酵素の量は健康診断の指標になることがある) 栄養は普通にバランスよくとって、あとは自分の体にま かせよう
    • 49. ローフードと酵素(食物酵素) • 確かに、生の食物(肉・野菜)には酵素が含ま れているが… 「食品の加熱、その得失。」食品安全委員会委員 本間 清一 https://www.fsc.go.jp/sonota/kikansi/5gou/5gou_6.pdf 加熱調理の効果 ・消化を助ける ・風味や色がよくなる ・安全性が高まる 食物に含まれている酵素は、ゆっくり(日単位で)働いている。 私たちの持つ消化作用は桁違いに速い。 それよりも、加熱した方が、柔らかくなる・変性するなど、消化を助ける。
    • 50. 「酵素」食品を食べたら健康になる? 食べた 食べない 健康になった A C 効果なし B D 体験談:「食べた→効果があった」…? AとBは同じ数かも? A はBの二倍だけど、CもDの二倍かも? 科学的には、証拠がない効果は「ない」ものとして扱う。 「食物」としての良し悪しは、個人の好み。 ? ? 100 ?
    • 51. 「酵素」食品を食べたら痩せる? • 酵素ダイエット=置き換え、ファスティング • 摂取エネルギーを減らせば当然痩せる • 「酵素」食品の効果(発酵によりできたいろい ろな成分の効果)は不明(データがない)。
    • 52. (おまけ)健康食品の広告 • 有名人であっても、個人の「体験談」は「効く」 証拠にはならない。 • 「専門家の話」「特許取得」「学会発表」→ちゃ んとした証拠にはならない。 • 「使用者の95%が満足」(満足してるからアン ケートに答えた)、「使用者の80%が痩せた」 (痩せなかった人は途中で脱落してる)…突っ 込みながら読みましょう。
    • 53. 「酵素栄養学」本家のサプリ • エドワード・ハウエル氏が1932年に設立した National Enzyme Companyの酵素サプリ 「BIOCORE」 プロテアーゼ(タンパク質分解酵素) ラクターゼ(乳糖分解酵素) リパーゼ(脂質分解酵素) 「酵素」食品は日本独自の健康食品
    • 54. 日米の酵素健康食品 ローフード 精製酵素サプリ 酵素栄養学 米国 日本 「酵素」食品 (発酵食品) 発酵=体によい 昔からある健康食品 輸出?
    • 55. その他の酵素○○ • 酵素風呂…米ぬかなどの発酵にともなう発熱 を利用して温まる→酵素の効果があるとして も皮膚表面のみ。 お肌ツルツルはタンパク 質・脂質分解酵素の効き目?免疫力云々の 謎理論も。温まる・よい香りなどでリラックス。 • 酵素玄米…ある作法にしたがって玄米と小豆 を炊いた後、混ぜながら保温して3日以上置 く。→炊いた時点で玄米や小豆の酵素は「死 んで」いる。高温(85℃)で保温しているので 雑菌は増えにくいかもしれない。
    • 56. まとめ ・タンパク質でできた触媒で、概ねそれぞれ一つの得意技を持つ。 ・具体的で限定的な用途(○○を分解、××を合成など) ・実態が不明だが、なんとなく体に良さそうで万能 ・よく話を聞くと実は発酵食品のことを指す ・酵素栄養学に基づいた主張
    • 57. 身近にある酵素 • 酵素入り洗剤 「バイオ洗剤とスクリーニング」 伊藤 進 https://www.sbj.or.jp/wp-content/uploads/file/sbj/9009/9009_yomoyama_2.pdf タンパク質分解酵素(プロテアーゼ) デンプン分解酵素(アミラーゼ) 脂質分解酵素(リパーゼ) セルロース分解酵素(セルラーゼ) 皮脂+ケラチン (垢) 繊維の中に入り 込んだ汚れ 食物の汚れアルカリで安定 洗浄成分(界面活性剤など)に対して 安定 漂白剤に耐える 保存安定性 (日本の場合)低温で働く アルカリ性の環境 に生きる微生物の 持つ酵素を利用
    • 58. 身近にある酵素 • チーズ(レンネット) もともとは、若い仔牛の第4 胃袋の消化液の抽出物を 利用。 レンネット 主成分:キモシン 乳のタンパク質(カゼイン)を 凝固させる酵素 微生物レンネット 主成分:ムコールペプシン ケカビ(Mucor Pusillus)由来
    • 59. 身近にある酵素 • ペプシン – 胃液に含まれるタンパク質分解酵素 – 自分自身を分解しないように、 「キャップ」がついた状態で分泌され る