ナイジェリアのアリソンマドゥエケ石油相によれば、彼女は多額の石油収入の行方がわからなくなっている問題に関する調査結果の全容の公表には前向きだ。だが、同国政府が「概要」だけを公表すると決定したことで、国内では反発が強まっている。
石油相はフィナンシャル・タイムズ紙(FT)の取材に対し、同氏とジョナサン大統領は大手会計事務所プライスウォーターハウスクーパース(PwC)による国の石油勘定の法定監査を公表することに反対しないと述べた。だが、実際に公表するかどうかは会計監査機関が判断することであり、石油相の判断では明らかにできないと付け加えた。
2月に入りジョナサン氏はこの報告書を受け取ったが、現時点で政府が公にしたのはわずか3ページの「概要」だけで、200億ドルが消えたナゾの一端しかわからない。アリソンマドゥエケ氏は概要が公表された当時、これで「無実が証明された」と指摘していた。
■選挙前、不明金巡り野党が注目
「消えた大金」のナゾが浮上したのは2014年だった。ナイジェリア中央銀行のサヌシ総裁(当時)は、ナイジェリア国営石油公社(NNPC)が12年1月から13年7月の間、国庫に対する200億ドルの送金を怠ったことを示す証拠を明らかにした。サヌシ氏は任期途中で解任され、いまではナイジェリア北部のイスラム教徒が多い地域にあるカノ地区の首長を務めている。
与野党の接戦が予想される3月の総選挙を前に、政権に批判的な勢力は、消えた大金を巡るナゾに注目している。
アリソンマドゥエケ氏は調査結果の全容開示については「賛否両論」があると主張。反対論の例として、「猛反発」(する勢力)が「(報告書全文の)重箱の隅をつつくような細かい追及を始め、(国民の)関心事に仕立て上げる」可能性を指摘した。ここで同氏が反発する勢力として言及したのは、1999年の民政移管後では支持率が現政権に最も近づいてきた最大野党・全進歩会議(APC)である。
14年のサヌシ氏による暴露に関する調査を担当する上院委員会のメンバーであるサラキ議員(APC)は2月初め、「私たちは報告書の全文を公表すべきだと考える。政権が何も隠していないというのならば、みんなでチェックしないといけない」と語った。
PwCによる監査の「概要」は、サヌシ氏が指摘したいくつかの食い違いを埋めるためNNPCと関連会社が国庫に収めるべき額は14億8000万ドルにすぎないと結論づけた。
サヌシ氏はこれを受け、報告書の全文を精査しなければ結論を出せないと主張した。
同氏はFTに対し「私が問題視しているのはこうした資金が違法に留保されているという点であり、使途に関する説明が不十分だということではない」と説明した。
サヌシ氏の資料によると、石油や灯油に関する補助金の配分において数十億ドルが不正に処理されただけでなく、憲法に反して国有の石油資産が民間に移された。これにNNPCの経営判断の誤りが重なり、損失が膨らんだとみられる。
NNPCの経営幹部は調査概要の公表にあたり、監査は「原油収入の未送金を巡る疑惑は茶番にすぎないという私たちの主張が正しいことを証明した」と述べていた。
By Tom Burgis
(2015年2月24日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
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