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【戦後70年の証言】
「戦死した日本兵のためお役に…」ビスマーク諸島戦没者遺骨収集へ 父戦死、京都・綾部市の熊内洋子さん
「1柱でも2柱でも多くご遺骨を持ち帰りたい」。京都府綾部市睦寄町の熊内洋子さん(73)が、22日に出発する「平成26年度ビスマーク諸島 戦没者遺骨収集帰還派遣団」に参加する。実父が同地域のブーゲンビル島(パプアニューギニア)で亡くなり、2年前にも同地への慰霊の旅を行った。今回は日本遺族会の代表として参加する。「個人的な思いよりも、祖国に帰りたいと思いながら遠い異国で戦死した多くの日本兵のために少しでもお役に立ちたい」と語る。(原田純一)
同派遣団は、厚生労働省社会・援護局が日本遺族会に委託して毎年実施。今年度は日本遺族会代表の3人に加え、厚労省職員、全国ソロモン会、JYMA日本青年遺骨収集団のメンバーら計9人が22日に東京・靖国神社で結団式をした後、パプアニューギニアに向け出発。3月5日までの日程で、同国のニューブリテン島やブーゲンビル自治州を訪問し、遺骨収集作業や表敬訪問、現地追悼式への出席を予定している。
主な作業は、すでに海外未送還遺骨情報収集事業で収容し、現地の一時保管所に保管されている遺骨の確認。日本人戦没者と特定された場合、焼骨して日本に持ち帰り、3月6日に東京の千鳥ケ淵戦没者墓苑で遺骨引渡式を行う。
「寒い綾部と違って、向こうはかなり暑いと聞いている。とにかく体調を崩さないよう無事に収集作業を終えて帰りたい」と意気込む。「どれほど帰りたかっただろう」という日本兵の思いを胸に刻みながら、大切に遺骨収集作業を行うつもりだ。