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葛西水族園のクロマグロ水槽 復旧に最低3年

2015年2月24日6時0分  スポーツ報知
  • 葛西臨海水族園で3匹となったクロマグロ

    葛西臨海水族園で3匹となったクロマグロ

 昨年12月下旬からクロマグロが大量死し、現在3匹だけとなった葛西臨海水族園(東京都江戸川区)で、約170匹のクロマグロなどが回遊していた水槽に同数のマグロが戻るまでに最低でも3年はかかることが23日、分かった。同園では、クロマグロの世代交代をスムーズにするために、一度に大量購入せずに約3年に分けて搬入しているためだ。また、ウイルスの特定が進まない場合は、水槽に「シュモクザメ」を数匹入れる可能性もあるという。

(江畑 康二郎)

 水族園の現場を統括する飼育展示課係長・杉野隆さん(47)は「クロマグロを以前と同じ数に戻すには最低でも3年かかる」と断言した。

 死んだクロマグロからウイルスが検出されてから1か月以上がたったが、病理検査を行っている3つの研究機関はまだ病原性かどうか特定できず、水槽に新たなクロマグロを追加できない状況が続いている。杉野さんは「未知のウイルスだと、病原性の有無を調べるために数匹のマグロにウイルスをもう一度試して確認しなければならない」と話し、ウイルス特定の長期化も覚悟している。

 さらに同園では、クロマグロを1度に100匹以上搬入すると翌年マグロを追加する際、“新入り”が大きさで圧倒され隅に追いやられるなどして共生が難しいため、約3年に分けて年1回6月ごろに1歳(重さ約8キロ)のクロマグロ数十匹ずつ搬入している。これにより世代交代がスムーズにいくという。こうした状況から水槽が元の姿に戻るには最低でも3年はかかることになる。

 昨年11月1日の時点で69匹飼育していたクロマグロが12月下旬以降、相次いで死んだ。同じ水槽にいたハガツオやスマは1月中に全滅。飼育員らは1月中旬から、敏感なクロマグロを刺激しないように、ダイバーによる水槽内清掃をやめたり、24時間照明を続けるなど工夫を凝らしてきた。コケの生えてきた2200トンの巨大水槽には、クロマグロが1月20日から23日(午後4時半現在)まで3匹が生き延びている。

 同園は、今後起こりうる事態の想定もしている。杉野さんによると、このままウイルスが特定されなければ、マグロ類以外でクロマグロと比較的相性の良いシュモクザメ類の「アカシュモクザメ」などを水槽に搬入する可能性もあるという。「アカシュモクザメ」は、クロマグロと同様に水槽のテーマとなっている「外洋魚」。通称「ハンマーヘッド・シャーク」と呼ばれ、トンカチのようなT字形の頭をしており、園内で10匹飼育している。

 クロマグロが3匹になってから、同園に全国の子供たちから激励文などが届いた。杉野さんは「飼育員たちはとてもつらそうに働いていたが、手紙を読んで『頑張ろう』と前向きな気持ちになれました。本当にありがたい」とようやく笑顔をのぞかせた。

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