西川農相辞任:「農政へ影響ない」農水省、不安解消に躍起

毎日新聞 2015年02月23日 21時12分(最終更新 02月24日 00時52分)

西川公也前農相=国会内で2015年2月18日、藤井太郎撮影
西川公也前農相=国会内で2015年2月18日、藤井太郎撮影
就任会見をする林芳正農相=農水省で2015年2月23日午後7時47分、竹内幹撮影
就任会見をする林芳正農相=農水省で2015年2月23日午後7時47分、竹内幹撮影

 西川公也農相の突然の辞任に、農林水産省には驚きが広がった。自民党農林族のベテランで、農相就任前から環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉に関わってきた西川氏だけに、交渉への影響も懸念される。後任には、前農相で自民党農林水産戦略調査会長を務めている林芳正氏が就任。同省は「農政への影響はほとんどない」(農水省幹部)と、不安の打ち消しに躍起になっている。

 西川氏は自民党農林族で、農産物の自由化に反対するなど保守的な姿勢も強かったが、昨年9月の農相就任後は、農協改革を積極的に推進するなど、省内からは「改革の先頭に立ってくれた」との評価もある。TPP交渉では、農相就任前から自民党TPP対策委員長として各国と、コメや牛・豚肉など日本が関税維持を主張する農産物重要5項目を巡る調整を進めてきた。西川氏は23日夕、首相に辞表を提出後、記者団に「(内閣の)外に出ても、関わり方はあると思う」と述べ、閣外から農政に関わっていく意欲をみせた。ただ、辞任の記者会見は開かなかった。

 TPPの交渉が大詰めを迎えており、3月中に農協改革関連法案を国会に提出するための作業を農水省は急いでいる。「法案作成の作業は粛々と進めており、農相交代の影響はない」(同省幹部)としているが、後任の林氏は西川氏辞任の影響を最小限にすることを求められる。

 林氏は、昨年9月に西川氏と交代するまでの1年8カ月、農相を務めた。農家が農業だけでなく、加工や販売などを担う農業の「6次産業化」の重要性や、積極的に輸出などを推進する「攻める農業」を訴えてきた。

 また、自民党の農林水産戦略調査会長として、TPP交渉の内容も把握しており、ある農水省幹部は「政策の継続性の観点からも全く問題ない」と、農相交代を冷静に受け止めた。林氏は23日夜、農水省で記者会見し「政策を着実に進めていく。これが自分に課せられた使命だ」と語り、農政に混乱が生じないよう全力を尽くす姿勢を強調した。【田口雅士】

最新写真特集