安倍首相:「日教組」やじを陳謝 不用意発言で批判を増幅
毎日新聞 2015年02月23日 21時24分(最終更新 02月24日 01時00分)
◇西川氏追及かわしが裏目に
安倍晋三首相は23日の衆院予算委員会で、日本教職員組合(日教組)を巡る自身のやじを陳謝した。民主党を同じ土俵に引きずり込んで西川公也農相の献金問題への追及をかわそうとしたが、不用意な発言でかえって批判を増幅させた。西川氏は同日辞任。自民党「1強」のゆるみが与党の今後の国会運営に影響する可能性が出てきた。
発端は19日の衆院予算委。民主党の玉木雄一郎氏が西川氏の政党支部への献金問題を取り上げていたさなか、首相は「日教組はやっている」と答弁席からやじを飛ばした。自民党の大島理森予算委員長が「静かに」と制止しても、首相は「日教組はどうするのか」と言葉を重ねた。さらに翌20日の予算委で民主党の前原誠司氏から謝罪を求められると、「日教組が(国から)補助金をもらい、(日本)教育会館から献金をもらっている民主党議員がいる」と主張した。
首相は23日の予算委でも日教組出身の民主党の神本美恵子参院議員の実名を挙げ、文部科学政務官時代に「教育会館という隠れみのではなく、日教組からダイレクトに献金をもらっていた」「日教組からパーティー券(購入)を受けていた」と批判した。
首相はこれまで西川氏の献金問題について「政治資金規正法上は問題ない」との認識を示してきた。日教組と民主党の関係を繰り返し批判したのは、同党へのけん制だ。
しかし、首相のやじや国会答弁には事実関係に誤りがあり、かえって民主党に付け入る隙(すき)を与えた格好になった。同党は(1)日教組は補助金をもらっていない(2)日本教育会館は献金していない(3)神本氏は政務官時代に政治資金パーティーを開催していない−−と反論している。
首相は23日の予算委で「先般の前原委員の質問に対する答弁の中に正確性を欠く発言があった」と認めた。民主党の山井和則氏から「教育会館から献金をもらっている議員が民主党にいるという答弁は間違いか」と詰め寄られ、「献金をもらっていたかどうかは詳細に調べてみないと分からない」と根拠なく発言したことを自ら告白する場面もあった。