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[FT]シリア難民300万人超 受け入れ渋る近隣国

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2015/2/24 7:00
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 必死で爆撃を逃れようと1カ月間、国境を越えてレバノンへの入国を試みていたシリア人男性が先週、被弾して死亡した。この男性の兄、アブー・エマドさんは、頭から血を流している弟の死体を映した携帯電話の動画を見せながら、国境を警備するレバノン当局を呪っている。当局は弟の入国を何度となく拒否したのである。

 「国際社会にはもうシリア人を受け入れる気持ちがない。私たちをゴミのように見捨てた」。そう語るアブー・エマドさんは、ダマスカス東部の町の出身だが、現在はレバノン領内の難民キャンプのテントで暮らしている。「今、シリア人には家に残って死を待つしか選択肢がない」

難民キャンプのシリア人。2014年9月以来、約20万人の難民がトルコへ逃れている(1日、シリアとの国境の町スルチ)=AP
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難民キャンプのシリア人。2014年9月以来、約20万人の難民がトルコへ逃れている(1日、シリアとの国境の町スルチ)=AP

 かつてシリア人を受け入れていた周辺諸国は、今、扉を閉ざそうとしている。300万人以上の難民の受け入れで経済的に疲弊し、また暴力の流入を恐れたヨルダンとトルコは、1年以上前から入国審査を厳格化してきた。また自国で内戦が進行中のイラクは、あてになる逃げ場ではない。レバノンによる入国制限の厳格化で、今後さらに多くのシリア人が、4年間に及ぶ血みどろの内戦で荒廃したシリア国内で逃げ場を失うことになる。

■レバノンへ100万人超

 100万人を超える最大の難民数を抱えるレバノンは、人口の4分の1にも達する難民を受け入れることはできないと主張し、人道的見地以外の理由によるビザ(入国査証)の発給を最大で2日間しか認めていない。また支援活動家たちによれば、人道的見地に基づく難民の受け入れは、負傷した民間人や保護者のいない未成年者だけに限られているという。

 レバノン政府は、こうした入国制限措置により、新たに流入するシリア難民の数を減らし、すでにレバノン国内にいるシリア難民の国外退出を期待している。支援活動家たちの話によれば、レバノン政府はこうした制限措置の狙いを内密に打ち明けたという。

 取材に応じた多くの難民同様、アブー・エマドさんも、貯金800ドル(約9万5000円)全額をレバノンへ入国するために国境警備兵に支払った。たいていのシリア人はこれだけの金額を用意できない。

 「今回、レバノン政府が新たに設けた入国規制のもとでは、迫害や暴力を恐れて逃れてくる難民は、もっと多くの金額を要求される」。欧州のある政府職員は、レバノンの政府職員と難民について話し合っていた際、匿名を条件にこう述べた。「こうしたこと(搾取)がこの地域の至るところで横行している。レバノンはほんの最近になって始めた」

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