かんきつ類:新品種続々 敬遠される酸味 人気は「清見」

毎日新聞 2015年02月24日 10時04分(最終更新 02月24日 11時59分)

かんきつ類の系統図
かんきつ類の系統図
かんきつ類の品種別の特徴
かんきつ類の品種別の特徴

 暖かな色合いと爽やかな香りで人々をひきつけるかんきつ類。最近ではさまざまな品種が店頭をにぎわせている。清見(きよみ)、はるみ、はるか、せとか、ポンカンにタンカン−−違いが分かりますか? 各品種の特徴や食べ方をまとめました。

 ◇清見の「子」「孫」

 「品種は平成に入って、特にこの10年ぐらいで大きく増えましたね」と独立行政法人「農研機構」果樹研究所でかんきつ類の品種育成に携わる吉岡照高・上席研究員は話す。

 背景にあるのは、今も人気の高い「清見」の誕生だ。みかんとオレンジの掛け合わせで、香りが良く、基本的には種なしでジューシー。さらに交配に使いやすい特徴を持っていたため、もっと甘い品種や色の濃い品種などと清見を交配した新品種が続々と登場した。最近出回っている「天草」「はるみ」「はれひめ」など、多くが清見の子や孫だ。

 「地域ブランドの差別化と保護のため、各県が独自品種の開発を始めた」(吉岡さん)ことも次々に新品種が登場する要因だ。愛媛県の「甘平(かんぺい)」「紅(べに)まどんな」、山口県の「ゆめほっぺ」などがある。

 品種ごとに甘み、酸味、汁や種の多さ、皮のむきやすさは微妙に異なる。好みや用途に合わせて上手に選びたい。

 ◇季節感も出るサラダ

 果物専門店「新宿高野」広報の久保直子さんに用途別のお薦めを聞いた。

 贈り物にするなら、せとかやデコポン。12月ごろなら紅まどんなもいい。「香りが高く、味も良く、大ぶりな玉がそろう」点が向いている。

 ジュース向きなのは、オレンジやグレープフルーツなどの外国産。子どもが自分で手軽に食べるなら、皮のむきやすいマーコットやアンコール。皮ごと食べるきんかんも、最近は甘みが強く、苦みや酸味が少ないのでお薦めだ。

 久保さんは「サラダに加えるとさっぱりし、季節感も出る。チキンと合わせてサンドイッチにしてもおいしく、取り入れ方の幅が広がります」と助言する。

 果樹研究所の吉岡さんによると、今求められている特徴は、甘い▽皮がむきやすい▽種がない▽中の薄皮(じょうのう)がそのまま食べられる。果物のうまさは一般に、甘みと酸味のバランスと言われるが、最近は酸味は敬遠される傾向があるという。吉岡さんは「これからも品種は増えていくでしょう」と話している。【田村佳子】

最新写真特集