大阪都構想:知事、協定書案を提出…府議会、可決確実
毎日新聞 2015年02月23日 13時50分(最終更新 02月23日 14時07分)
大阪市を解体し、五つの特別区に再編する大阪都構想の協定書(設計図)議案を、大阪府の松井一郎知事(大阪維新の会幹事長)が、23日開会した府議会2月定例議会で提案した。大阪市議会でも24日、橋下徹市長(維新代表)が提案する。都構想を巡る議会での議論は今回が事実上、最後となるが、議案は維新と公明党の賛成多数で両議会とも可決されるのは確実な状況だ。都構想の是非は、根拠法である大都市地域特別区設置法に基づき、大阪市民を対象に5月17日に実施される見通しの住民投票の結果に委ねられる。有効投票の過半数が賛成だと、都構想への移行が決定する。
今回提案した協定書議案は昨年10月、府・市両議会で否決された議案と、ほぼ同じ内容。都構想の実現時期を2017年4月とし、大阪市の現行の24行政区を廃止、北▽東▽中央▽湾岸▽南−−の五つの特別区に分割する。各特別区の人口は69万〜34万人となり、それぞれ区長を選挙で選び、議員定数23〜12人の区議会を置く。特別区と府は役割を分担し、特別区は教育や福祉など身近な住民サービスを、府は都市開発や鉄道網整備など広域行政を、それぞれ担当する。
維新は▽大阪府と大阪市がそれぞれ大規模開発などを手がけている二重行政の現状を解消できる▽特別区による身近な住民サービスが充実する−−と主張している。
これに対して自民、民主、共産など野党は▽特別区設置による新たな庁舎建設など再編に伴う費用がかかり、二重行政解消による節約効果は少ない▽現行でも府と市の連携で二重行政の解消は可能−−などとして反対している。
都構想を巡り、協定書議案は昨年10月、府・市両議会で、公明を含む野党の反対多数で否決された。しかし、12月の衆院選で維新の党が大阪府内で比例第1党の得票だったことを受け、公明が「協定書の内容には反対だが、住民投票の実施には賛成する」と立場を変えた。府・市両議会とも維新と公明を合わせれば過半数となり、今年1月の法定協議会ではほとんど議論されることなく、協定書の内容が決まった。【熊谷豪】