斉藤佑介
2015年2月24日10時28分
1945(昭和20)年8月15日。あの日、どこで何を感じていましたか――。漫画家や作家が、敗戦の日の記憶を文と漫画でつづった本が3月に復刊する。「私の八月十五日」。一度絶版になったが、別の出版社のもとで新たな作品に編み直された。朗読を収録するプロジェクトも進む。文章、絵、そして、音声。70年前の記憶と思いを、次の世代につなぐ取り組みだ。
「どの作品も、戦火をくぐって生きのびた人たちのドラマであり、一つ一つが平和への道しるべだ」
漫画家の森田拳次さん(75)はそう語る。
復刊本のもとになった本「私の八月十五日~昭和二十年の絵手紙」は、森田さんが2004年、ちばてつやさん(76)、さいとうたかをさん(78)ら漫画家や落語家、作家に呼びかけて、出版された。
森田さんは敗戦当時、6歳。中国・奉天(現・瀋陽)にいた。後ろ手にしばられ、荷台に乗せられた日本兵が中国人にむち打たれ、石をぶつけられ、罵声を浴びている姿が目に焼き付いている。
混乱の中、中国から引き揚げたのは森田さんだけではない。ちばさんや赤塚不二夫さんも同じような境遇だった。
敗戦のあの日に感じた思いを文章に起こし、情景を漫画にした。中国で、福岡で、神奈川で。当時の年代も幼少期から青年期まで。111人の思いがこもった本だが、版元の会社がなくなり、絶版となっていた。
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