震災時帰宅困難者:受け入れ企業「免責」に…新指針

毎日新聞 2015年02月20日 21時28分(最終更新 02月21日 02時25分)

 首都直下地震など大規模地震が起きた際の帰宅困難者問題で、内閣府や東京都などで作る対策会議は20日、帰宅困難者を一時的に受け入れる施設の確保と運営に関する指針を改定した。企業の提供施設内で事故が起きても、故意や重い過失がなければ責任を負わないなどの受け入れ条件を企業が文書で利用者に示し、承諾と署名を得た上で受け入れる対応策を新たに示した。企業の協力を得やすくし、不足する一時滞在施設を増やすことを目指す。【狩野智彦】

 ◇利用者署名が条件

 都の想定では、首都直下地震発生直後の帰宅困難者は都内だけで約517万人に上る。一時滞在先として公共・民間施設計約570カ所を確保したが、なお約70万人分が不足している。このため、都などは企業側に自社ビルの一部を一時滞在施設として開放するよう協力を要請してきたが、企業側は余震時などに施設内で事故が起きた場合、責任を問われることなどを懸念し、受け入れに二の足を踏んでいた。

 このため新指針は、一時滞在施設が企業側の「善意」で開放されることを強調。事故が起きた場合の免責のほか、利用者は企業側の指示に従う▽所持品は基本的に預からない▽負傷者の治療や備蓄品の配布ができない場合がある−−など、受け入れ条件を明示した文書を準備しておく必要があるとした。また、一時滞在施設の運営中に企業側に損害などが生じた場合、国や自治体が協力して積極的に支援することも盛り込んだ。

 内閣府などは、法整備で企業側の免責を定めることについても今後検討していく。

 一方、内閣府は20日、大規模地震の発生直後に、企業の施設管理者などが建物の安全性を緊急点検する際の指針を初めてまとめた。管理者が事前に1級建築士など専門家とともに点検箇所を把握したうえで、点検方法を記したチェックシートを作成し、災害直後の点検で建物が使用可能かどうかを判定することなどを求めている。

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