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アジの開きパイ包み焼き。
古典的なフランス料理に『スズキのパイ包み焼き』というのがある。
まるまる一匹のスズキをパイ生地で包んで焼き上げたものだ。 実物を食べたことはないが、まあ美味いんだろうというのは分かる。 ロシア料理にも、シチューを入れた壺の表面をパイで覆って焼いたものがある。 しかし和食には、パイ包み焼きがない。なぜだ。 (昔の日本にパイがなかったからだとは思う) パイ包みと和のコラボレート、どうだろう。 > 個人サイト イロブン Twitter:tech_k 味噌汁のパイ包み焼きケンタッキーフライドチキンのメニューにある、シチューの器にパイ生地をかけた『ポットパイ』というのが、いま一番手軽に食べられるパイ包み焼き料理だと思う。
しかし、それでいいのか。シチューでいいのか。 日本人に最も馴染みのあるパイ包み焼きは、味噌汁であるべきではないのか。 パッケージから漂う洋菓子感。今からお前、和食になるぞ。
パイ包み焼きというと何となく敷居が高く思えるかもしれないが、解凍するだけで使える冷凍パイ生地を使えば、おそろしく手軽に作れる。
この時点で飲んでいいんだけど。
適当にいつも通り作った味噌汁を耐熱の器に入れて、しばらく冷ます。
ここでアツアツのものを使うと、パイ生地があっという間にグニャグニャに柔らかくなってしまい、これからの作業が面倒くさくなるからだ。 パイ生地で包むだけでもう味噌汁じゃない。
解凍してほどほどに柔らかくなったパイ生地を器の口径に合わせて切り、フチに押しつけるようにしてかぶせて密閉。
この時点でパイ生地からバターの匂いがしてきて、食欲をそそる。 パイの中に隠れているのが実は豆腐と長ネギとワカメの味噌汁だとは、絶対に分かるまい。 美味しく見せようという努力も施す。
あとは焼き上がりの照りを出すために、表面に卵黄を薄く塗っておく。
この照りは味には影響がないようだが、でも見た目で美味そうに見えた方が、結果として美味しいのだ。 さぁ焼けろパイ。煮えろ味噌汁。
あとは、200℃で予熱しておいたオーブンにつっこんで、20分ほど焼くだけである。
ただ、器は耐熱のものを使わないと、割れるなどして危ないと思う。たぶん。 焼いている間は、もう台所全体がパイの焼けるあの暴力的に美味しそうな香りが漂ってくる。 これで万が一にでも焼き上がりがまずかったら、きっと僕は泣いてしまうと思う。 頼む。美味くなってくれ味噌汁。 ヌーベル和食、味噌汁のパイ包み焼き。
見事にふくらんだパイ生地が良い感じである。
これはサクサク以外あり得ない、と見て分かる焼き上がり。 あとは、このサクサクが味噌汁にマッチしてくれるのを祈るのみだ。 湯気の暴発で曇るレンズ。
ドーム状にふくらんだパイ生地を器の中にサクッと割り入れるようにすると、「だふぁ」とすさまじい勢いで湯気が溢れてくる。
おお、これはテンション上がるぞ。 ただ、本来のパイ包みシチューならこの時点で湯気とともに立ち上るシチューの香りに包まれる手はずなのだが、残念ながら味噌汁の香りはパイ生地の香りに負けてほぼゼロ。 大丈夫か。
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