日本の「報道の自由」が世界61位に後退した理由
JIJICO 2015年02月23日 17時00分
「世界報道自由ランキング」で日本は61位に後退
国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」が、世界180の国及び地域を対象とする調査に基づく「世界報道自由ランキング」を発表しました。日本の順位は昨年の59位から2つ下がり、61位に後退しています。
この「世界報道自由ランキング」は2002年に開始されたもので、世界の14団体と130人のジャーナリストや特派員、法律家及び人権活動家等が、各国の「報道の自由」の度合いに関するアンケートに回答し、その結果に基づいてランキングが作成されます。そもそもアンケートの手法や設問が適切なものかどうか、また、本当に「実態」を反映したランキングと言えるのか、などといった批判の声もあるようですが、「報道の自由」あるいは「報道の信頼性」について考える「指標」となることは確かです。
原因は日本特有の「記者クラブ制」にある
では、これまで日本の「報道の自由度」の順位は、どのように推移してきたのでしょうか。当初の2002年には26位だったのが徐々に後退して2006年には51位まで順位を落としましたが、そこからは順次アップして2010年には最高の11位まで躍進しました。ところが、その後は反転して2011年〜2012年には22位、2013年には53位、2014年には59位、そして2015年には61位までランクを落としています。
世界から見た日本の「報道の自由度」としては、さほど高く評価されてこなかった事実がわかります。私たちの「感覚」からは意外に映るかも知れませんが、その原因は、日本特有の「記者クラブ制」だと言われています。記者クラブとは、公的な機関等を継続的に取材するジャーナリストによって構成される取材・報道のための自主組織のことです。記者クラブ制の問題点は、組織運営が大手の新聞社や通信社、放送局に独占され、海外の報道機関やフリージャーナリスト等が事実上入ることができない点にあります。
記者クラブの加盟会員だけが情報を独占的に入手できる結果を生むため、特に海外のジャーナリストからは評判が悪いと言われています。記者クラブ制が、取材の対象である権力側との癒着を生み、権力側を監視すべき報道機関の機能低下を招くという批判も根強いところです。
現在の状況を日本国民はもっと真摯に受け止めなくてはいけない
他方で、我々日本人は「マス・メディアに弱い」と言われています。太平洋戦争時代の「大本営発表」に象徴されるように、メディアが発する情報の中に嘘や誇張あるいは間違った情報が含まれていても気づきにくいという欠点です。そもそも、発信された情報には、何かしらの偏りや嘘、誇張や間違った情報が含まれていることを前提として、情報を評価し、識別する能力を身につけ、情報を正しく利用する必要があります。このような考え方は「メディア・リテラシー」と呼ばれています。
さて、2013年に「特定秘密保護法」が制定され、日本政府にとって都合の悪い情報が隠ぺいされる可能性が高くなっている現状を踏まえるならば、「報道の自由度」が61位というのは、先進国の中でも格段に悪く、特にG7の中では最下位であることについて、私たち日本国民はもっと真摯に受け止めなくてはいけないのかも知れません。
(藤本 尚道/弁護士)
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