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問われる調剤薬局の意義

2015/2/23付
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 病気やけがで病院や診療所にかかったとき、薬は外にある調剤薬局で受け取ることが多い。「医薬分業」と呼ぶ仕組みだ。薬の専門家である薬剤師の目で、医師が処方した薬が患者にとって安全で有効かを点検するためだ。

 この医薬分業の意義が問われる問題が起きた。ドラッグストア大手ツルハホールディングスの子会社、くすりの福太郎(千葉県鎌ケ谷市)やイオン子会社のCFSコーポレーションの調剤薬局が、患者の薬の服用歴などの情報を記録せずに患者に薬を渡していた。

 これまでどのような薬を服用してきたのか、また、その薬によって副作用があったかどうかは患者にとって重要な情報だ。薬剤師は本来、これらの情報をもとに、飲み合わせによる相互作用なども考慮し、患者に服薬指導をする。

 薬歴の記録管理などを実施すれば、薬局は公的医療保険制度から一定の報酬を得ることができる。だが、両社は記録をしないまま報酬を受け取っていた疑いがある。責務を果たさず、利益だけを得ていたとすれば見過ごせない。

 調剤薬局の役割をめぐってはかねて疑問も指摘されている。「医師の処方通りに薬を出しているだけで、丁寧な指導を受けたことはない」といった声も珍しくない。

 人口の高齢化などに伴い、公的医療保険制度を通して使われる医療費は年40兆円ほどに達する。このうち調剤薬局には7兆円ほどが支払われており、その伸びは大きい。市場拡大を見込んでチェーン薬局の参入も相次いでいる。

 ただこの財源は税金や健康保険料だ。利益だけを優先するような振る舞いは許されない。関係者には限られた財源の中で医療の質を高めるための工夫が求められる。価格が安い後発薬の普及にも力を入れてもらいたい。

 健康維持の指導をするなど患者のために活動する薬局もあるが、今回のような問題が起こるようでは医薬分業を進める意義が薄れかねない。関係者は原点に戻って職責をまっとうすべきだ。

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