挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
公爵令嬢の嗜み 作者:澪亜

商会設立

さて、そんな感じで始まった我が商会。商会の名前は、アズータ商会。優秀な皆は持ち場でそれぞれ遺憾無くその能力を発揮し、すぐに商品販売まで漕ぎ着けた

お母様に試作を送ってみたところ思いの他好評で、すぐにお茶会やら手土産として持って行ってくださったらしく、あっという間に貴族の間でブームに。現在生産が追いつかないぐらいで、商会もウハウハだ。

転生知識バンザイ。

すぐにでも生産ラインを増やして対応するべきだ、との意見も出たが、それは却下。ターゲット層があくまで貴族のため、無理に増産するよりも希少価値を持たせた方が良いだろうという考えだ。それに合わせて、よりブランドのイメージを確固とする為に、箱やチョコレートには必ず百合の文様を刻印するように徹底させた。……何れ競合他社が出来た時の備えだ。今のところ、まだ現れていないけれども。


それから現在、別途貴族ラインとはまた別に平民用のラインを作ることも動き始めている。


具体的にはチョコレート自体はまだ高級品の為、チョコレートクリームを使ったクレープや、果物をチョコレートでコーティングしたものの販売をするカフェを検討中。……というか既に場所は確保したし、食材の流通ルートも確保しているので、稼働はもう間近といったところだ。


セイはとてもとても忙しそうに走り回っている。


とは言え、私ものんびり構えているという訳ではない。徐々に商会が軌道に乗り始めた今、商会の運営と同時並行で領の運営改革の準備に乗り出している。


目まぐるしいスケジュールだけれども、何と無く懐しく思う。前世でもこんな感じだったしね。

さて、そんなことを考えているうちに早速最初の予定。まずはセイとの打ち合わせからだ。



「……現在の状況は、お手元の資料の通りです」

「貴族ラインは相変わらず好調なのね。働き手の確保はどう?」

「それについてもご安心を。現在多くのシェフが、我が商会を訪れております。未知なる食べ物…それも話題の品物とあっては、その作り方を学びたいのでしよう」

「なるほど。であれば、この前話した休暇制度を導入してちょうだい。それからメリダと話してあるのだけれども、彼女のお眼鏡に叶った人物には、これから始める別ラインの方のお店を任せたいのよ。そろそろ其方の打ち合わせをしたいから、彼女に確認して私のところに連れて来るように取り計らって」


「畏まりました」

「それから、今後既存の商品も王都のみではなく他の都市にも流通させたいわね。その流通経路の確保と人員が必要……一層の事、運送業も独自に立ち上げてしまおうかしら?ターニャ、レーメとモネダを呼んできてちょうだい」

ターニャは言われた通り、すぐにレーメとモネダを呼んできてくれた。

「……モネダ、普通商家はどのように流通を確保しているのかしら?」

「そうですね…中小商家であれば店主が自ら動いているところが多いかと。大きなところであれば、護衛を雇ってやはり自らかもしくは部下にといった具合でしょうね」

「……であれば、やはり運送業というのは中々良いかもしれないわ。レーメ、すぐに地図を引っ張り出してきて。それからこの国内の道の中で、より平坦・より気候の寒暖差が少ない道をピックアップしておいてちょうだい。それから、各領に着くまでの時間を計算。ライルと話し合って、護衛はどのぐらい必要か、その費用も合わせて計算しておいて」

「はーい!今度は何を始めるんですかー?」

「今の輸送業の発展版、というところかしら?後でその構想は紙に認めるから、費用と勘案して実現可能か検討するわ。では、セイ。まずは先ほど伝えた働き手の雇用形態の草案の作成と、メリダとの話をつけておいて。レーメも早速作業をお願い。ターニャはセバスを呼んできて。それからモネダはこのまま残って、銀行の構想を練りましょう」

矢継ぎ早に述べる私の話を、皆はよく汲み取ってくれて動いてくれる。というか、そろそろ此方の人員も増やしていきたいわよね。徐々に増やしてはいるのだけれども…指示する側が圧倒的に足りてない。セイもこのままじゃ倒れちゃうだろうし…中々上手くいかないものね。

と、頭の切り替え切り替え。

「……じゃあ、モネダ。この前どこまで話したかしら?」

「物価の調整、資金の集中化、それから信用の創造ですよね」

そろそろ本格的に領制の改革も推し進め始めようかと思い至った為、この前はとりあえずモネダに銀行の構想を伝えた。

現在市場では金は流通しているものの、そのコントロールをする機関はないとのこと。また、これにはビックリしたのだけれども…現在領民達は金をタンス預金にするか、もしくは商業ギルドに預けているらしい。何でも商業ギルドはそういう機能も持っているらしく、商業ギルド内であればどの支部であろうが預けた金額を引き出せるという大変便利なものとなっている。

ただし、商業ギルドはそれが本職ではないため、本当に預かってハイ終わりという具合だ。

「と、ここまでで何か質問はあるかしら?」

「いえ。ですが、よくこんなもの考えつきましたね」


まあ、私が考えたのではないけれどもね。と言いたいところだが、言えないのでそのまま笑顔でスルーした。


「取り敢えず、銀行用の建物を買い取っておいて。それから、近日中に商業ギルドにギルド長と主だった商会の会頭を私の名前で集めて会えるようにしてちょうだい」


「分かりました」
















+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ