【前編】「直感を信じてきただけ」 “15歳・無職”から高級車コレクターへ、成功する自由人の成り上がりストーリー
【スピーカー】ポルシェコレクター、マグナス・ウォーカー(Magnus Walker) 氏
【動画もぜひご覧ください】
Go with your gut feeling | Magnus Walker | TEDxUCLA
夢だったポルシェに乗り始める
マグナス・ウォーカー氏:10歳の時にポルシェに恋に落ちたという話をしたのを覚えていますか? 最初のポルシェを購入したのは1992年のことでした。
Serious Clothingが1992年から2000年の間に急成長しましたから。ポルシェを買ってからは走るのが楽しくて、よくスピード違反で罰金を払っていました。
2001年、公道でスピードを上げるところから、「ポルシェオーナークラブ」に入会し、レース場で走るようになります。走る為のプログラムに参加し、レースをする為に知っておかなければならないことを学びます。そこから五年は、一年に50回ほどレースで走りました。2008年、2009年頃になると、レースをするのにお金を使いすぎた! と気がつき、次の情熱へと移ります。
レースからコレクション、レストアの世界へ
ポルシェが大好きなので、ポルシェを集め、レストアしたいと考えました。私にはそのような技術はありませんでしたが、情熱がありました。熱意があればなんでもできると言うでしょう? やりたいという気持ち、わくわくする気持ち、モチベーションを合わせてそれにフォーカスすれば大抵のことは出来るのです。そこにすこしの幸運と自分を信じる気持ちが加われば尚良しです。
ポルシェのブログを始めました。ブログタイトルはその名も「ポルシェコレクション、コントロール不可能な趣味」です。これが自分を表現するのに最もしっくりくると思ったのです。人生のターニングポイントは自分の大好きなことをやっていると自然と訪れます。
ポルシェをレストア、コレクションし続け、約2年ほど前のことでしょうか。ターニングポイントが訪れました。10年毎に人生のターニングポイントを迎えてきました。5年、10年毎のビジネスプランなどありません。それはいつも自分の好きなことをして、「これをやれ!」という自分の心の声に従うと自然にやってきました。
撮影ロケにビルを貸出し、それを通じて多くの映像業界の人々に出会いました。彼らは私のリアリティテレビ番組をつくりたがっていましたが、そんなに世間の目に晒されたくないと思ったり、プロデューサーとなんだかしっくりこなかったり、そう、しっくりこなかったのです。
ドキュメンタリーが大ヒット!
そんな時、カナダの映像監督でポルシェ愛好家のコスコビッチさんが私のことを知り連絡してきました。CM撮影ばかりで飽き飽きしていた彼は、何か新しいことをやりたがっていました。ポルシェ狂いの私のことを特集すれば面白いのではないかと思ったようです。数回話をした後に、彼はロサンゼルスにやってきました。
最初のアイディアは短いドキュメンタリーをYouTubeにアップしよう、というものでした。四日間ポルシェを乗り回して、それを撮影してみようということに。これが四日以上撮影に費やし、32分のドキュメンタリーとなりました。撮影は2012年の2月で、予告編を同じ年の6月にリリース。
予告編をリリースしてどれだけ反響があるかわかりませんでしたが、どうやってか『Top Gear』(英BBCの超長寿な自動車情報番組)に取り上げられ、リリースした最初の日に50,000のアクセスがありました。そして「Facebook」というものの存在を知り、よし、よくわからないけど登録してみよう、とFacebookを始めました。
(会場笑)
iPhoneも持っていないほどインターネットに疎かった私ですが、突如として友達申請が世界中から届くようになりました。スペインだったりインドネシアだったり。『Top Gear』で取り上げられた私のドキュメンタリーの予告編が、それを見た人達によってどんどん広まっていったのです。これが起きたのは、自分のこころを信じて、低予算でも同じものを愛する仲間、気に入った人と一緒に仕事をした結果だと思っています。
これを機に、少しずつ自分のドキュメンタリーが出ることを公表し、フィルムフェスティバルのチャンスも狙いました。そして「レインダンスフィルムフェスティバル」というところにたどり着き、そこで皆に公開することに。するとこのドキュメンタリーが大人気! それを受けてオンラインで公開するに至りました。公開後二週間ほどしてジェイ・レノ氏から連絡が。彼のショーでそれを流したいと。18か月の間で驚くほどに状況が変わりました。
アパレルラインをクローズし、次のステージへ
この時点で私は20年を自分のアパレルビジネスに費やしてきました。昔ほどアパレルに情熱を持つことが出来なくなっていた。ここでも私は「成功とはやりたいことをやりたいようにやることが出来る自由である」という自分のこころの声に従い、Seriousをクローズすることにしたのです。Seriousを始めなければ私が今ここにいることはなかったでしょう。あれが全ての始まりでした。
Seriousを諦めたというよりは、新しいことを迎え入れる為のスペースをつくったというイメージです。次に何が起きるかわかりませんが、何か新たな素晴らしいことが舞い込んでくるはずだと信じてSeriousをクローズすることにしました。
Seriousをクローズしてから18か月で100ほどの雑誌、ビデオ、テレビの取材を受けてきました。Seriousをクローズしたことにより、多くの場所に旅行に出かける自由が手に入ったと思っています。10歳の時にポルシェに手紙を書いたと言いました。
ドキュメンタリーがリリースされてから一か月ほど後、ポルシェから手紙が届きました。そこにはドキュメンタリーを見た、あなたのポルシェに対する情熱には感銘を受けたという内容がつづられていました。二回目の手紙は、ポルシェミュージアムイベントへの招待でした。
その後もロサンゼルスでのポルシェのイベントに何回か招待されました。そしてポルシェがやっているクラシックカーのレストアについてのワークショップにも参加。私はポルシェに対する情熱と呼びますが、情熱を持つ私の価値はお金では買うことが出来ないものであるということをポルシェ側も感じたのでしょう。本社のほうにも行って、次のCMについても話し合ったりしました。
ポルシェと繋がることが出来た以外にも、ドキュメンタリーをリリースした結果、あることが起きました。ナイキ、BMWやボルボ等有名企業からも連絡があり、彼らのプロダクトについての意見を求められるようになったのです。
(会場笑)
私は頭をポリポリと掻きながら、私はただ自分のしたいことをやっているだけの男ですよ、と言うのですが、どうやら人は自分のしたいようにやっている私に惹かれるようです。ドキュメンタリーが素晴らしかった、とメールをたくさん受け取ります。
嬉しいのは、多くの人が私のことを知り、ドキュメンタリーを見て、素晴らしい、良い影響を受けた、インスパイヤされたと言ってくれることです。
アメリカへ越してきてから今までの28年間は、すべて自分のこころ、直感に従った結果です。少しそわそわする、落ち着かない気分になったら、それは正しい道を進んでいる証拠です。モチベーションを保ち、一生懸命やりましょう。私は誰かに意見を求めることなく、自分の好きなように好きなことをやってきました。これが上手く行った秘訣のようです。
これからどうなるか、どこへ行くかはわかりません。様々な可能性にオープンでいながらこれからの道を楽しみたいと思います。次にどんなことが待ち受けているのか本当に楽しみです。今日は皆さんと私のストーリーをシェアする機会をいただき、ありがとうございました。
※ログミーでは、TED Talksおよび各TEDxの定めるCCライセンスを遵守し、自社で作成したオリジナルの書き起こし・翻訳テキストを非営利目的のページにて掲載しています。
↓この記事を気に入ったらログミーをフォロー!↓