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サッカー日本代表コラム
入団6年目、今季から川崎の副主将を務めることが決まった小林悠。プレーだけでなくチームの中心としても主将の中村憲剛を支え、6位に沈んだ昨季の雪辱を果たす。
photograph by Shigeki Yamamoto
サムライブルーの原材料

攻撃陣で唯一アジア杯の出番無し。
小林悠が考える「試合を決める選手」。

二宮寿朗 = 文

text by Toshio Ninomiya

photograph by Shigeki Yamamoto

 出場ゼロ。

 公式戦の大会ともなると1試合も出場できない選手たちがどうしても出てきてしまう。昨年のブラジルW杯で言えば齋藤学、酒井高徳、酒井宏樹ら6選手、そして今年1月に行なわれたアジアカップでは23選手中7選手いた。

 ポジションの内訳から見てみるとGKが2人(西川周作、東口順昭)、DFが4人(太田宏介、塩谷司、昌子源、植田直通)。MF、FW枠のなかでは1人だけ。12人いる中盤、前線のなかで唯一、登場しなかったのが小林悠だった。

 自分の出番が来ることを信じて、いつ声がかかってもいいようにコンディションを整えながらサブのメンバーとしてチームを盛り立て、その一方で試合に出られない葛藤とも戦っていかなければならない。出場ゼロに終わったアジアカップから小林は一体何を得たのだろうか。

アジアカップUAE戦、ハーフタイムの出来事。

 1月23日、シドニー。

 グループDを難なく1位突破した日本代表は準々決勝でグループC2位のUAEと対戦した。しかし前半終わって0-1。ハーフタイムの笛が鳴ると、重たい空気が日本サイドを包んでいた。

 そのとき――。

 ビブスを着たサブの一人が引き上げてくる先発組に駆け寄っていった。何やら声も掛けている。足取りの鈍い先発メンバーの顔を上げさせ、一人ひとりと握手を交わしてからダッシュでアップに向かっていった。背番号「13」、小林悠――。彼の実直な性格がよく分かるひとコマだった。

 2月上旬、川崎フロンターレの第1次キャンプを終えて麻生グラウンドに戻ってきた小林に話を聞いた。UAE戦のあのハーフタイムのことをまず尋ねてみた。

「初めて先制点を取られてしまって、苦しい状況でした。みんな中2日で体もきつそうに見えたので、“我慢して頑張ろう”みたいな声をかけたと思います。良いプレーに対してベンチから手を叩いたりして、少しでもチームの力になれればいいと思って鼓舞していこうというのはありました」

 出る準備を整えていたが、後半20分に3枚目の交代カードが切られてからは「鼓舞していく」ことに専念していた。ベンチでともに戦いながらも、チームはPK戦の末に敗れた。彼は硬い表情で、ベンチの前に立っていた。チームがベスト8で終わった悔しさ、出場ゼロに終わった悔しさ……様々な思いが彼の心のなかを駆け巡っていたに違いなかった。

【次ページ】 「メンバーに選ばれるとは考えていなかった」

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