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【社説】

シニアの大学 老いてますます学ぶ

 シニア向けの「大学」への志願者が順調に増えている自治体がある。学ぶ喜びが生きがいになり、それが地域での交流や活動にも生かされている。そうした機会や場の提供をもっと増やしたい。

 自治体が設けた「シニア大学」の事例のうちでも、愛知県内の盛況ぶりはなかなかのものだ。

 「あいちシルバーカレッジ」は愛知県が一九九一年に開講した。一年制の授業で、六十歳以上が対象だ。名古屋、豊橋市など県内四カ所に教室がある。

 経済や文学、環境など、学習内容は幅広く、毎回定員を上回る応募が集まる。昨年は文化学科(名古屋校)が、最高の五・一倍になり、新年度から東海市に五カ所目のキャンパスを新設するという。

 六十歳以上の市民が学べる名古屋市の市民大学「高年大学鯱城(こじょう)学園」(中区)の開講は八六年。

 「生活」「国際」「福祉」など十の専攻(講座)を設け、二年かけて知識を深める。こちらも応募者が増え昨年、定員を約三割増やし七百六十人にしたばかりだ。

 いずれも高齢者の生きがいや健康づくりなどを目的に設立。社会福祉協議会が運営している。学校教育法による正式の大学ではないが、入学式や卒業式もあれば、修学旅行も楽しめる。

 この両校で福祉学科などで学び防災ボランティアのNPOをつくった中区の男性(65)は「多様な仲間と出会って刺激され、新たな人生勉強になった」と話す。

 学びの成果や同窓生、先輩らとの交流から生きがいを見いだし、卒業後には、それを地域の活動にまでつなげている受講者も少なくないことに注目したい。

 県単位で高齢者大学があるのは三十府県程度という。東京都などにはないが、市区や民間の取り組みが活発なようだ。ただ、県によっては財政難で縮小、廃止の動きや受講者不足の大学もある。

 国立長寿医療研究センター(同県大府市)の生活機能賦活(ふかつ)研究部で認知症予防の研究を進め、かねて社会参加の重要さを説く島田裕之部長は、健康長寿には「受講するだけで意味がある」という。それがネットワークにまで発展すれば、意義は計り知れない。

 男性の平均寿命も八十を超え、四人に一人が六十五歳以上の時代だ。高齢社会は介護や医療など負のイメージがつきまとい、現実や将来もたしかに厳しい。

 だからこそ、人ごとと考えず、高齢でも外とつながり、長寿を楽しめる社会としたい。

 

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