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【社説】

核のごみ これ以上増やせない

 経済産業省は、核のごみを地中に埋めても、将来掘り返すことができるようにするという。そこを最終処分場にはしませんよ、というシグナルか。処分場を選ぶ難しさを物語るようでもあるが。

 原発を持つ電力会社が出資する原子力発電環境整備機構(NUMO)が主体になり、三百メートルより深い安定した地層に埋める−。この大筋は変わっていない。しかし、使用済み核燃料に対する政府の認識は、曲がり角にあるようだ。

 まず、自治体が手を挙げるのを待つ公募方式をあきらめた。国が科学的に適地を選び、住民や国民の理解を求めるやり方に改める。

 将来、より有効な処理方法が見つかった時には掘り返し、処分し直すことができるようにする。

 そして、使用済み燃料を再処理せずに、直接埋める方法も研究する。プルトニウムなどを取り出すリサイクルをせず直接処分することもあり得るという。

 埋めたごみを掘り返し、回収を可能にするということは、「最終処分」を当面先送りするという意味ではないか。

 私たちは今、核のごみを安全に処分するすべを持ち合わせていないということなのだろう。

 世界中で最終処分場の立地が決まっている国は、フィンランドとスウェーデンだけである。

 なぜ、合意できたのか。政府、あるいは原子力行政への国民の信頼が比較的厚い、また厚くしてきたからではないか。地震が少ない土地柄ということもあるだろう。

 原子力は安全だと言い続けながら福島の事故を起こしてしまい、今もなお、後始末に苦しみ、そのうえ、世界有数の地震国でもある日本とは、事情が違う。

 政府が関与を強めても、処分場の選定が進むとは限らない。

 折しも日本学術会議は、原発のごみに関する新たな提言案をまとめた。核のごみは原則五十年間、人の目の届く地上で暫定保管し、その間国民との「対話の場」を設置して、よりよい処分方法を話し合う。暫定保管場所を持たない電力事業者には、原発の稼働を認めない−。

 今の時点で明確なのは、核のごみの最終処分は難しく、これ以上排出させられないということだ。埋める場所が見つからず、リサイクルもままならない。だとすれば、ごみを出さないようにするしかない。ごみ問題の常識だ。

 最終処分のめどが立たねば、原発は容易に動かせない。

 

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