旧正月直前の18日午後、ソウル市の南大門市場では、女性用セーターや乳児用ズボンなどをの衣類を載せた手押し車の前で、商売人が「1000ウォンで大処分」などと叫んでいたが、市場の路地は100メートル先が見えるほど閑散としていた。女性用コートを売るキム・ヨンリムさん(64)は「朝8時から売れたのは1着だけ。南大門で40年近く商売しているが、これほどの不景気は初めてだ」と話した。
内需低迷で旧正月需要が吹き飛んでしまった。従来型市場だけでなく、大型店の売り上げも不振だった。インターネット通販の活況と春節(旧正月)連休で韓国を訪れた中国人観光客による消費増加がせめてもの救いだ。
百貨店と大型スーパーで旧正月景気の目安となる贈答セットの売り上げは、昨年の秋夕(中秋節)に比べ不振だった。ロッテ百貨店の贈答セットの売り上げは、昨年の秋夕は前年同期比16%増だったが、今年の旧正月は8%増にとどまった。イーマートやロッテマートも状況は変わらない。
低価格の商品ほど売れ行きがよかったのも特徴だ。現代百貨店で今年の旧正月に人気だった贈答セットは10万ウォン(約1万700円)未満の商品だった。現代百貨店関係者は「企業が購入する贈答セットの単価は20-30%低下した。5万ウォン(約5360円)前後の缶詰、調味料セットがよく売れた」と話した。
モバイル機器の普及と安い商品を求めるムードが追い風となり、インターネット通販は好調だった。業界大手のGSショップでは、旧正月用の贈答セットの売り上げが前年比で32%増えた。特に3万ウォン(約3220円)以下の海産物の干物、食用油などは46%の販売増だった。11番街、Gマーケット、イーマートモールでも贈答セットの売り上げが26-44%伸びた。
旧正月の景気を下支えしたのは中国人観光客だった。中国人客は都会の人々が帰省して閑散としたソウル市内の百貨店、免税店をはじめ、明洞、新沙洞、街路樹通りなどを訪れた。
連休最終日の22日、ソウル市中心部のロッテ百貨店本店は大半の売り場が平日の昼間のように閑散としていたが、9階の免税店だけはエスカレーターを降りると前が見えないほど中国人観光客で混雑した。四川省から家族で来たという陳美苑さん(26)は「韓国の化粧品や紅参は品質が良く、商品が多彩で、価格も中国よりはるかに安い。5泊6日の旅行を買い物に費やすつもりだ」と話した。
ロッテ百貨店本店では、旧正月期間の中国人客の来店数が前年を50%以上上回り、売り上げも75%アップした。淑明女子大のソ・ヨング教授は「今年の旧正月期間も中国人客に対する売り上げが増えたことはプラスのシグナルだ。中国人観光客と原油安を内需活性化につなげる方策を多角的に取るべきだ」と指摘した。