ネット・SNS
23 11月 2014, Posted by in ネット・SNSSNS、ブログのイラストのお悩み
【ご質問】
35歳の女性です。私はブログを開設していますが、ブログに使ったイラストをそのまま他のブログで使われています。これはどうしようもないのですか?
【弁護士からのアドバイス】
イラストが著作権法上の「著作物」といえるかがまず問題になります。この点については、ごく簡単なものや、ありふれたもの以外は、書き手によって思想や感情が創作的に表現されているため、著作権法上保護される直作物といえるでしょう。
イラストが著作権法上の「著作物」といえるということになると、他人のブログで使われているイラストを無断で自分のブログで使う行為は著作権の侵害ということになります。この場合、著作権者は侵害行為をする者に対し、その侵害行為をやめるよう請求することができます(差止請求)。具体的には、著作権侵害をしている他人に対して、無断で掲載しているイラストの掲載中止を求めることができます。また、著作権者は著作権侵害を理由として損害賠償請求をすることができます。
具体的には、侵害行為をしているブログの管理者にメールを送り、そのような行為を中止するよう請求し、その要求に従わない場合には、ブログ管理者の住所が判明していれば、内容証明郵便にて警告状を送付するという方法が考えられます。それでもなお応じない場合には、訴訟を行うのがいいでしょう。
参考文献:インターネット新時代の法律実務Q&A p162
SNS、ブログのお悩み
【ご質問】
35歳の女性です。私はブログを開設していますが、ブログに使った自分の写真をそのまま他のブログで使われています。これはどうしようもないのですか?
【弁護士からのアドバイス】
場合によって肖像権を侵害します。
写っている人がとても小さいなどで誰であるかが判別できない場合は、仮に本人だけはそれが誰かが分かっても肖像権の侵害にはなりません。
一方、人が判別可能な程度に写っている場合は、その氏名等が表示されていなくても、肖像権の侵害となります。判別可能な場合でも、撮影の場所が公共の空間である場合や撮影の目的に公益性がある場合は別ですが、本件ではそのような事情は認められないでしょう。
この場合、あなたはは侵害行為をする者に対し、その侵害行為をやめるよう請求することができます(差止請求)。具体的には、肖像権侵害をしている他人に対して、無断で掲載している写真の掲載中止を求めることができます。また、あなたは肖像侵害を理由として損害賠償請求をすることができます。
具体的には、侵害行為をしているブログの管理者にメールを送り、そのような行為を中止するよう請求し、その要求に従わない場合には、ブログ管理者の住所が判明していれば、内容証明郵便にて警告状を送付するという方法が考えられます。それでもなお応じない場合には、訴訟を行うのがいいでしょう。
参考文献:インターネット新時代の法律実務Q&A p196
SNS、ブログと名誉毀損のお悩み
【ご質問】
30歳の女性です。ブログを開設していますが、私を誹謗中傷するコメントが投稿されました。非常に悪質なので投稿者を訴えたいのですがどうしたらいいですか?
【弁護士からのアドバイス】
名誉毀損とは人の社会的評価を低下させる表現行為ですが、それがブログ上で行われた場合には、刑事上は名誉毀損罪、民事上は名誉毀損の不法行為が成立する可能性があります。
このため、ブログ上で名誉毀損行為を行った投稿者に対しては、不法行為に基づく損害賠償請求や名誉毀損罪での告訴を行うことが可能です。
ただし、名誉毀損罪については、①事実が公共の利害に係り、②もっぱら公益を図る目的で、③真実を語ったことを投稿者が証明できれば、名誉毀損罪は成立せず、仮に事実が真実と証明できずとも、③確実な資料、証拠に照らして相当な理由があることが証明された場合は、犯罪の故意がなく名誉毀損罪は成立しないものとされています。
また、このことは民事上の不法行為についてもあてはまり、社会的評価を低下させる行為が、公共の利害に関する事実に係り、もっぱら公益を図る目的に出た場合において、投稿された事実が真実であると証明された場合には違法性がなく、また、仮に投稿された事実が真実でなくても行為者がその重要部分が真実とと信じる相当の理由がある場合には、故意・過失がなく、不法行為は成立しません。
さて、ブログにおいては、匿名での書込みが可能ですので、投稿者に対し損害賠償請求や刑事告訴を行うためには、投稿者を特定する必要があり、そのために
プロバイダ責任制限法4条1項に基づく発信者情報開示請求が可能です。
これはプロバイダに対し発信者の
- 氏名または名称
- 住所
- 電子メールアドレス
- IPアドレス
などの開示請求が可能です。
参考文献:インターネット新時代の法律実務Q&A p136、179
SNS、学校裏サイトのお悩み
【ご質問】
35歳の女性です。11歳になる子供が学校裏サイトでいじめにあっています。対処法を教えて下さい。
【弁護士からのアドバイス】
学校裏サイトとは、学校の管理者が正式に運営しているホームページではなく在学生等学校関係者が非公式に開設した掲示板サイト等を意味します。インターネット利用が普及するに伴い、このような学校裏サイトを利用して特定の子どもに対する誹謗・中傷が集中的に行われる、いわゆる「ネットいじめ」が見られるようになりました。
ネットいじめも、「いじめ」の問題ですので、学校内でのいじめについての対対処と同様、学校や教育委員会に相談する他、各種の相談窓口に相談すること等が考えられます。相談先としては、法務省の「子どもの人権110番」、「インターネット人権相談受付窓口」、各弁護士会の相談窓口、地方法務局の人権擁護課、その他各地方自治体の相談窓口があります。
上記のような対応で不十分な場合は、何らかの法的手段を検討せざるを得ません。いじめによるい誹謗・中傷は、内容によっては、名誉毀損、プライバシー権侵害、肖像権侵害などに該当する場合があります。
なお、名誉毀損の場合に、刑事罰もありますので、警察へ相談することも考えられます。いずれの手段をとるにしても、証拠が重要となりますので、最低限、いじめにあっているサイトのURLを記録し、日付が分かる形でいじめが掲載された掲示板をプリントアウト又は写真撮影するなどして、いじめの日時、内容を証拠化することが必要です。
参考文献:インターネット新時代の法律実務Q&A p334
SNS、関連検索のお悩み
【ご質問】
35歳の女性です。私の氏名を検索エンジンに入力すると、関連検索で非常にネガティブな単語との組み合わせが表示されます。大変迷惑しています。これをなくす方法はありますか?
【弁護士からのアドバイス】
今日、関連検索やサジェスト機能は、ウェブページ検索の利便性を向上させる検索として多様されております。
しかし、例えば、ある特定の単語「A」を入れると、関連検索はサジェスト機能で、その単語に続いて「ブラック」「悪徳」「性犯罪者」といった否定的な単語が表示されることがあり、これによって、検索サービスの利用者に、「A」という個人や法人に対する、否定的なイメージを与えてしまうことが問題視されております。
この点、関連検索やサジェスト機能は、検索事業者の意思とは無関係に機械的・自動的に表示されるものなので、検索事業者による権利侵害を認めることが困難とも考えられますが、違法な表現が含まれるウェブサイトへの到達を容易にし、検索事業者への具体的な削除申し入れにもかかわらずそのような状態が放置されることで、あなたの被る不利益が甚大である場合には、あなたの被る不利益の具体的な内容や程度を勘案したうえで、削除請求が認められる余地があります。
裁判所も、ある個人の名前を検索すると、サジェスト機能によって、犯罪行為を連想させる単語が候補に挙がり、それを選択すると、検索結果にその個人を中傷する1万件以上のウェブページが表示される状態になっていたことにより、その人が退職に追い込まれる等の不利益を被ったとして、サジェスト機能の表示の差止めと損害賠償を求めた事案において、プライバシー権侵害及び名誉毀損を根拠として、差止めと損害賠償を認めています。
また、最近、ある個人の名前を検索すると、自己が犯罪に関わっているかのような検索結果が表示されたのに対し、Google社に検索結果に表示されるウェブページの表題と、その下に表示されるウェブページの内容の要旨部分の削除を求めた事件で、裁判所はこれを削除を命じ、Google社はこれに従って削除したケースがあります(東京地方裁判所平成26年10月9日決定)。
参考文献:インターネット新時代の法律実務Q&A p308
リベンジポルノのお悩み
【ご質問】
20歳の女性です。別れた彼からリベンジポルノの被害を受けています。私はどうしたらいいですか?
【弁護士からのアドバイス】
「リベンジポルノ」とは、恋人や配偶者と別れた際に、腹いせに、交際中に撮影したわいせつな写真・動画などをインターネット上で公開することです。
あなたとしてはそのような写真等の削除を一刻も早く求めたいところです。
削除するための方法としては、「送信防止措置依頼」と「削除仮処分」がありま
す。このうち、「削除仮処分」は裁判所に申し立てる必要があるので、あなたと
しては、まず「送信防止措置依頼」を行うのがいいでしょう。これはプロバイダ
責任制限法に規定されているものです。
リベンジポルノはネット掲示板などに投稿されることが多いと思われます。通常、ネット掲示板を自分が管理しているということはないでしょうから、当然、自由に削除をすることはできません。そこで、削除をするためにはサイト管理者やサーバ管理会社に削除を依頼していくことになります。なお、検索すると表示される画像等をすべて一気に削除したいというのが被害者の希望だと思いますが、それは残念ながら不可能です。削除するためには、あくまで掲載されているサイトごとに削除依頼していく必要があります。これを受け取ったプロバイダ等は、発信者(投稿者)に対して自主的に削除するかどうか、7日間の期間を定めて意見照会を行い、返信がなければ削除をするというのが通常の扱いです。
ネット掲示板に投稿されてしまった場合は対応の余地がありますが、LINEや
メールで拡散されてしまった場合はどうでしょうか。LINEやメールでは、インターネットを媒介するという点では同じですが、その画像等のデータは直接個人のスマートフォンやパソコン等に保存されることになるという点で、ネット掲示板に投稿されることとは大きく意味が異なります。そのため、これを削除するためには、LINEやメールを受信した個々人に削除を依頼していくしか方法は
ないということになります。
なお、「リベンジポルノ」は犯罪行為にあたる場合があります。
いかなる犯罪にあたるかというと、まず、刑法のわいせつ物公然陳列罪です。ただ「、わいせつ」といえるには、原則として性器が写っている必要があります。
次に、被写体が18歳未満の場合は、児童買春・児童ポルノ禁止法の児童ポルノ公然陳列罪(同法7条4号)に当たります。性交等をしているなど、性欲を興奮させ又は刺激するものであれば、性器が写っている必要はありません。
また、名誉毀損罪も考えられます。性的な画像等を撮影させていたことで、「特殊な性癖を持っている」とか「性的にルーズ」という印象を与え、社会的評価が低下させられたといえれば、名誉毀損罪が成立することになります。
最後に、ストーカー規制法では「その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する文書、図画その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置くこと」(2条8号)が規制されています。「リベンジポルノ」はこれにあたる場合が多いでしょう。
なお、リベンジポルノに特化したリベンジポルノ被害防止法案を提出する動きがあります。
最後に、被害を拡散させないために最も重要なことはなんでしょうか。それはそもそもそのような写真・動画を撮影しないということです。