震災遺児支援:40億円が余剰…宮城に全国から寄付
毎日新聞 2015年02月23日 11時49分(最終更新 02月23日 13時32分)
東日本大震災で親を亡くした遺児の支援のため、全国から宮城県に送られた寄付金約82億円の半分が余剰となり、使い道が決まらないまま4年が過ぎようとしている。遺児約1000人への奨学金に必要な額は約40億円。県は被災児童の支援などに使途を拡大したい意向だが、条例改正などの手続きを検討する必要があり、有効活用のめどは立っていない。【金森崇之】
◇使途拡大めど立たず
宮城県は震災が発生した2011年、遺児・孤児への奨学金給付を目的に「震災みやぎこども育英基金」を条例で設置。昨年末時点で82億1639万円の寄付が集まった。親を亡くした小中学生に月1万円、高校生に2万円などと決め、昨年7月末までに1019人に8億9024万円を届けた。ただこのままの額で給付を続けた場合、全遺児が卒業するまでに必要な額は約40億円にとどまる。
県は給付の増額について▽既に学校を卒業した遺児がいる▽交通事故遺児との格差が拡大する−−などとして否定的。中学生の不登校率が2年連続全国ワーストになるなど被災後の心のケアが課題となっているため、使い道を遺児以外の被災児童に拡大する方向で検討している。
ただ、被災児童の心のケアなどには国の財政支援もあり、県は震災から5年が経過する再来年度以降も支援が継続するか見極めてから決めたいとして結論を先延ばししているのが現状。岩手、福島両県は既に遺児への支給額を増やしたり、対象者を被災地域の子ども全般に広げたりしており、宮城県だけで善意の活用方法が宙に浮いている格好だ。
岩手は12年度から被災高校生への教科書や制服などの支給にも充て、13年度には遺児への奨学金をほぼ2倍に増やした。福島県は12年に条例を改正し、寄付金を県内全域の18歳未満の子どもの教育に充てられるよう変更、現在は食育事業や子ども関連のNPO支援にも使っている。条例改正前に手紙で使途拡大を寄付者全員に伝えたが、「反対はなかった」(同県児童家庭課)という。