韓国労働研究院がこのほど発表した報告書「事業体規模別賃金・労働条件比較」を読むと、2014年8月現在、雇用人員300人未満の中小企業労働者の月平均賃金は204万ウォン(約21万8000円)で、300人以上の大企業労働者月平均賃金359万8000ウォン(約38万5000円)の56.7%程度にすぎなかった。04年の59.8%と比べると、10年間でその格差はさらに広がっている。中小企業労働者の中でも非正規職の1時間当たりの平均賃金は大企業正規職の40.7%にすぎなかった。
最近の大企業の中には大卒新入社員の年額給与を5000万ウォン(約535万3000円)以上と策定するところが出てきている。だが、その一方で中小企業は2000万ウォン(約214万1000円)前後にとどまっている。このため、人生で初めて就職活動をする若者たちは1浪・2浪してでも大企業に入ろうと必死になる。こうした格差は賃金だけではない。大企業労働者が会社を辞める時に退職金をもらう割合が94.5%であるのに対し、中小企業労働者は35.4%にしかならない。ボーナスをもらう割合は大企業が93.1%、中小企業は34.0%だった。
賃金・労働条件でこのように格差が大きいのだから、中小企業労働者らが少しでも良い条件があるなら転職をしようと思うのも当然だろう。大企業労働者の平均勤続年数は10.7年だが、中小企業は4.9年にすぎない。結局、中小企業にはそもそも有能な人材が入社を希望せず、働いていた人もすぐに辞めてしまうため、経験・知識・熟練度が蓄積されない。こうなると当然、最高水準の商品・サービスを生み出すことはできず、その結果、競争力が下がり、ますます低賃金の非正規職に依存する悪循環に陥る。
政府・政界は福祉システムを効率化し、充実させようと議論を進めている。しかし、雇用市場の第1次分配システムが大企業と中小企業、正規職と非正規職に二極化・二重化している状況では、福祉支出により高所得層と低所得層の格差を狭めるのに限界がある。何よりもほぼ同じ仕事をしながら賃金・労働条件が天地の差ほど開いていることに起因する中小企業・非正規労働者の挫折感や不満はこれ以上放置できない。労使政委員会で行っている労働市場の構造改善議論では、この問題を最優先課題として取り上げるべきだ。