韓国でも最低賃金の適正水準をめぐり論争が絶えない。韓国の今年の最低時給は5580ウォン(約600円)で昨年の5210ウォン(約560円)に比べ7.1%上昇した。月給に換算すると、週40時間勤務で116万 6220ウォン(約12万5400円)になる。韓国の最低時給はここ10年で約2倍に引き上げられ、特に昨年と今年は2年連続で7%台の引き上げ率を記録した。最低賃金委員会が物価上昇率や経済成長率だけでなく、所得分配の改善までも考慮して最低賃金を定めたためだ。
労働界は、最低賃金を労働者全体の平均賃金の50%(月150万ウォン=約16万1200円)水準に引き上げ、所得の不平等を解消すべきだと主張しているのに対し、経営側は最低賃金を大幅に引き上げれば最低賃金労働者の99%が働く零細企業が打撃を受けるとして反対している。
労働問題の専門家は「最低賃金を継続的に引き上げてはいるものの、最低賃金未満で働く人が多すぎるのが問題だ。アルバイト、高齢者、零細企業の労働者など、最低賃金も受け取れない労働者は全国で170万人(労働者全体の9.6%)に達する」と指摘した。1986年に最低賃金法を制定し、88年から最低賃金を告示してきたが、100人に10人は今なお最低賃金さえもらえていないのだ。
韓国労働研究院・賃金職務センターのイ・ジャンウォン所長は「主な先進国では最低賃金未満で働く人の割合が1-3%ほどにとどまっている」とし、最低賃金を引き上げるだけでなく、最低賃金未満で働く人を減らす努力が重要だと指摘した。
これと関連し、韓国政府は昨年12月、試用期間であっても賃金が最低賃金を下回ってはならず、これに違反した事業者に過料を科すとした非正規雇用対策を発表した。現在は、3カ月に限り賃金を10%減額してもよいことになっている。