matono - キーパーソン,リーダーシップ,仕事術 07:00 PM
歴史あるガイドブック『ロンリープラネット』を24歳で引き継いだ、若きCEOのリーダー哲学
2年前、24歳にして世界中のバックパッカーたちの愛読書『ロンリープラネット』の指揮を任されたダニエル・ホートンさんは、新聞の見出しを飾りました。
当時のホートンさんは、ウェスタンケンタッキー大学でフォトジャーナリズムを専攻し、卒業してから3年も経っていませんでした。卒業後は、フォトジャーナリストとして働いたり、広告代理店に勤務したり、自営でマーケティングと写真の仕事をしたり、ウェスタンケンタッキー大学の学生広報誌のデジタルメディアアドバイザーとして活動するなど、彼自身のキャリアを積んでいるところでした。
しかし、ホートンさんが2011年にテネシー州フランクリンで共同設立したNC2 Mediaは、2013年にBBC Worldwideからロンリープラネットを買収したことで、創刊40年の老舗ガイドブックは若きリーダーが率いることになったのです。20代にして企業のトップとなったホートンさんに、リーダーとしての心得や彼自身について聞いてきました。
24歳で会社の手綱を握る
「『ロンリープラネット』を買収した時、どういうことになるのかそんなに考えていなかったんです。ただ自分たちのものになってうれしかったんです」とホートンさん。そうは言っても、会社はリーダーシップにおける大きな変化を必要としていました。結局、ホートンさんはCFO(最高財務責任者)だけを引き継ぎ、公の場に出る役割を担いました。「18〜20カ月前のことだけど、その時は自分が65歳くらいになった気分でした」。
ホートンさんの最初の仕事は、世界中の『ロンリープラネット』の従業員を20%減らすことでした。そして従業員の中で最も若かった彼は、現代的なメディアとして組織改革をするための新しいアイデアを模索していました。
「24歳が会社の手綱を握っているなんて想像できますか? 僕は早い段階で、自分が変えられないことは気にしないと決めたんです。自分が生まれた日は変えられません。自分の経歴も変えられません。ですから、ただありのままでいるしかなかったんです」。ホートンさんは、組織の既存の姿から学びつつ、組織改革に必要な新しい考え方を持ち込むことに専念しました。
リーダーに欠かせない戦略
数年間に渡ってホートンさんは5人の社員とともに、会社を発展させるために数百人の従業員を抱えるメディア組織の舵取りをしてきました。そして、現在『ロンリープラネット』には、ホートンさんよりも若い社員が数人います(それでも会社の上層部の中では、まだ1番若いメンバーのままですが)。ホートンさんのこれまでの人生には、自分を若きリーダーとして導いてくれた、いくつかの大事な戦略があります。
- 人を大事にする
一緒に働いている人たちを好きにならなければなりません。自分の会社を運営していた時、私はノートに手書きでメモをする時間を取っていました。クライアントと一緒にいる時に、彼らが知らないことを提示したり、投資してくれるようにお願いをするためです。一緒に過ごす時間をきちんととると関係が長く続きます。 - 権限を委譲する
ルーティンをきちんとこなすこと。1日のうちにやることを自分なりに決めて、それを守り続けます。しかし、攻守の切り替えは素早くやらなければなりません。人に権限を委譲したら、信頼して任せつつも、すべてをチェックし続けます。 - 上層部に配属する人物選びは慎重に
実務能力が驚くほど高い人が、必ずしも最高のリーダーになるとは限りません。適材適所でリーダーを配属することが、ほかの社員に対する責任でもあります。 - 信頼できるベテランを周りに置く
「年齢が問題なのではなく、経験がないのが問題だ」という格言があります。しかし、これは自分ではどうしようもありません。私には理解と支持をしてくれるグループがあります。そして、これからやろうとしていることを信じてくれ、後ろ盾となってくれる、とても有能な人たちに囲まれています。 - 人の意見を聞きつつ、自分を信じる
誰にでも自分の意見があります。どの意見に耳を貸すか決めなければなりません。しかし、最後は自分の直感を信じましょう。 - できるだけ包み隠さず話す
思いやりをもって人と接し、常に誠実でいること。常にすべてをさらけ出すことはできませんが、できるだけ包み隠さず、人に対してオープンでいること。 - 時間だけは誰にでも平等
時間は誰にでも同じだけしかありません。自分が喜んで働ける以上の労働を人に求めないこと。自分以上に働く人はいないということを肝に銘じておく。
原文筆者とホートンさんは、ウェスタンケンタッキー大学の人文化系の卒業生として、在校生に卒業後の進路の可能性について話すパネルトークで話をしました。ホートンさんは、卒業後に自分を奮い立たせてがんばればどんなことでもできると、謙虚な語り口で伝えていました。そして、長い間親しまれているブランドを率いる型破りなCEOとしての、自身の経験について率直に話してくれました。
Leadership Lessons From Lonely Planet's 26-Year-Old CEO|Inc.
Sam Ford(訳:的野裕子)
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